定期健診・予防歯科

キシリトールにはどんな効果がある?

キシリトールにはどんな効果がある?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

スーパーやドラッグストアでキシリトール入りガムやタブレットを見かけます。キシリトールとは何か、また、どのような効果があるのかについてご説明します。

キシリトールのもつ3つの効果

キシリトールには3つの大きなメリットがありますので、ご紹介します。

1.キシリトールは糖尿病患者でも安心な甘味料

キシリトールは糖アルコールの中でも最も甘く、砂糖と同程度の甘さがあります。キシリトールはスーッとした清涼感があることでも知られていますが、これはキシリトールが熱を奪う性質があるからです。もともと清涼感があるところに、ミントのフレーバーが加わり、更に清涼感が際立ちます。

砂糖と同じくらい甘いキシリトールですが、そのカロリーは砂糖の4/3程度しかありません。更に、血糖値の急上昇が起こらず、代謝するためのインスリンを必要としないので、糖尿病の人でも安心して摂取することが出来ます。

2.キシリトールには虫歯を防ぐ働きがある

キシリトールが虫歯を防ぐと言われる理由が以下の3つです。

  • カルシウムとくっつき再石灰化を促す
  • キシリトールは虫歯の原因となる酸を作らない
  • 虫歯菌の働きを抑制する

キシリトールはカルシウムとくっついて再石灰化を促します。歯は、虫歯菌の出す酸に触れると脱灰によって表面のエナメル質が溶けます。同時に唾液のもつ再石灰化という作用で溶けたところを修復します。脱灰と再石灰化が絶えず繰り返されることで、初期の虫歯であれば自動的に修復されます。

また、キシリトールは、虫歯の原因となる酸を作らないということも、キシリトールが虫歯予防に有効とされる大きな特徴です。

更に、キシリトールには、虫歯菌の働きを抑えて酸を出させなくする働きもあります。

3.唾液の分泌を促してくれる

キシリトールは甘い味がしますので、唾液の分泌を促します。唾液にはお口の中をきれいに洗い流す作用があり、虫歯や歯周病からお口を守ります。また、キシリトールガムを噛むことでも唾液の分泌は増えます。

キシリトールの虫歯予防への効果はどんなもの?

キシリトールはどのような効果を発揮するのでしょうか。それは甘味料でありながら、虫歯菌のエサにならず、虫歯菌に酸を作らせないため虫歯にならないという効果です。

通常、虫歯の原因菌であるミュータンス菌が口腔内にいる場合、食べ物が入ると、食べ物から糖分を取り出し、それを餌に酸を作り出します。もともとお口の中は中性ですが、ミュータンス菌の増殖して沢山酸を出すと、口腔内は酸性に傾きます。酸で歯のエナメル質が徐々に溶けていき(脱灰)、虫歯になってしまいます。

キシリトールガムを噛むと、ミュータンス菌はキシリトールから糖分を取り出そうとしても取り出せず、虫歯の原因である酸を作れません。ガムを噛む事で、唾液の分泌が促され、唾液の自浄作用によって、お口の中を中性に戻すことが出来ます。

更にキシリトールの成分がカルシウムと結合すると、その複合体が歯の組織に入り、再石灰化(初期虫歯の修復)を促進させたり、歯を硬くして歯質を強化することが出来ます。

キシリトールが入っていれば何でも虫歯予防の効果がある?

キシリトールガムやタブレットは虫歯予防の効果があります。キシリトールは果物や野菜にも含まれていて、いちごやカリフラワー、ほうれん草などに多く含まれます。ただ、食べ物に含有されているキシリトールは、ガムやタブレットと比べると含有量が低いため、虫歯予防の効果は殆どありません。

「虫歯になりにくいキシリトール成分配合」とうたうお菓子でも、原材料の表示を見れば砂糖が入っていることは多く、砂糖の糖分がミュータンス菌の餌になって虫歯になるリスクがあります。

市販のキシリトール商品は50%前後の含有量ですが、歯科医院で販売するキシリトールガムやタブレットはキシリトール100%と含有量が高いので、より一層の効果が期待できます。

キシリトールを摂ったから虫歯や歯周病にならないということはありません。予防歯科の観点からも、ご自身で行うオーラルケアとしての歯磨きは大変重要ですので、必ず行いましょう。

ブラッシングが正しく行えているか不安な方は、歯垢を染め出すプラークチェッカーを使えば、歯に残っている歯垢がピンク色に染め出されて可視化されます。ピンクに染まった部分を重点的にブラッシングしましょう。

キシリトールは天然の甘味料

白樺

キシリトールとは、糖アルコールの一種です。昔は、樫の木(どんぐりが落ちる木も樫の木の一種)や、白樺から摂れるキシラン・ヘミセルロースという糖分からキシリトールは作られていました。現在ではとうもろこしの芯(コーンコブ)や白樺を元に作られ、虫歯予防効果が実証されている甘味料として流通しています。

キシリトールは清涼感のあるさわやかな甘さで、砂糖と同じくらいの甘さですが、カロリーは砂糖の約3/4です。

キシリトールは健康に害はない?

キシリトールは点滴剤に含まれる炭水化物として既に10年以上使用されています。1997年には厚生労働省から食品添加物として認可され、安全性が評価されています。

注意点としては、キシリトールを一度に多量摂取すると一時的にお腹がゆるくなる事があります。これはキシリトールやソルビトールのような糖アルコールは、小腸で消化吸収がされにくいためです。お腹の不調は一過性のものであり、きちんと定められたとおりに摂取すれば健康面では特に問題ないと言えます。

キシリトール製品の選び方

キシリトールの成分を効果的に摂取するために、キシリトール製品を選ぶ際には下記の点をチェックしましょう。

  1. キシリトールの含有量が多いもの・・出来るだけキシリトール100%のものを選ぶ
  2. ショ糖が含まれていないもの・・糖は虫歯の原因になる
  3. クエン酸などの酸が入っていないもの・・柑橘系の香料などが多いものは避ける

キシリトールはいつ摂取すればいいの?

時間

キシリトールを摂取するタイミングは食後や間食後などです。摂取回数を多くすると効果的です。毎日継続して摂取を続けることでむし歯になりにくくします。

虫歯になりやすい方は、特に気をつけて必ず摂取を続けるようにしましょう。

まとめ

歯のキャラクター

キシリトールには虫歯菌に虫歯の原因となる酸を作らせないという効果があります。そのため虫歯予防の為に食後にキシリトール入りのガムを噛むことがおすすめです。ガムの成分をよく見て、なるべくキシリトールの含有量が多く、砂糖が入っていないものを選びましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック