正しい歯磨きの仕方とは?順番・時間・力加減と磨き残しを防ぐコツ
正しい歯磨きの仕方とは?
正しい歯磨きの基本は、歯ブラシの毛先を歯の表面や歯と歯茎の境目にきちんと当て、軽い力で小刻みに動かすことです。ただ長い時間磨くだけでは、歯と歯の間や奥歯、歯の裏側などに歯垢が残ってしまうことがあります。
歯磨きをするときは、磨く順番を決め、1~2本ずつ丁寧に磨いていくことが大切です。また、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に取り除けないため、デンタルフロスや歯間ブラシも組み合わせましょう。
正しい歯磨きとは「毛先を当てる・軽い力で動かす・磨く順番を決める・歯間清掃を加える」の4点を毎日続けることです。
この記事を読むとわかること
- 正しい歯ブラシの当て方と動かし方
- 歯磨きにかける時間と1日の回数
- 磨き残しが起こりやすい場所
- デンタルフロスや歯間ブラシを使う順番
- 歯ブラシや歯磨き粉の選び方
- 手磨きと電動歯ブラシの違い
- 歯磨きをしているのに虫歯や歯周病になる理由
毎日歯を磨いている方でも、いつも同じ場所に歯垢を残していることがあります。「毎日磨いていること」と「必要な場所を磨けていること」は、同じではありません。
この記事では、家庭で実践しやすい歯磨きの方法を、歯科医療の視点からわかりやすく解説します。
目次
- 1 歯磨きでは何を落とす必要があるの?
- 2 正しい歯ブラシの当て方と動かし方は?
- 3 歯はどのような順番で磨けばいいの?
- 4 歯磨きは何分、1日何回すればいいの?
- 5 食後すぐに歯を磨いてもいいの?
- 6 磨き残しやすい場所はどのように磨けばいいの?
- 7 デンタルフロスと歯間ブラシは使った方がいいの?
- 8 デンタルフロスは歯磨きの前と後のどちらに使うの?
- 9 歯ブラシはどのように選べばいいの?
- 10 歯磨き粉はどのように選べばいいの?
- 11 歯磨き後のすすぎは何回すればいいの?
- 12 電動歯ブラシと手磨きはどちらがいいの?
- 13 歯磨きで歯茎から血が出るときはどうすればいいの?
- 14 歯磨きをしているのに虫歯や歯周病になるのはなぜ?
- 15 自宅の歯磨きだけでは落とせない汚れがあるの?
- 16 歯科医院で磨き方を確認した方がいいのはどんな人?
- 17 正しい歯磨きに関するQ&A
- 18 まとめ
歯磨きでは何を落とす必要があるの?
歯磨きの主な目的は、歯の表面に付着した歯垢を取り除くことです。歯垢は単なる食べかすではなく、多くの細菌が集まった粘着性のある汚れです。
歯垢が歯の表面や歯と歯茎の境目に残ると、虫歯や歯肉炎、歯周病の原因になります。食べかすを取り除くだけでなく、毛先で歯の表面を丁寧に清掃することが重要です。
歯磨きの目的は、虫歯や歯周病の原因になる歯垢を毎日取り除くことです。
歯垢が残りやすい場所には、次のような共通点があります。
- 歯と歯の間
→ 一般的な歯ブラシの毛先が入りにくい場所です。デンタルフロスや歯間ブラシによる清掃が必要になります。 - 歯と歯茎の境目
→ 歯ブラシが歯の中央部分にしか当たっていないと、境目に歯垢が残ります。歯周病が始まりやすい場所でもあります。 - 奥歯の溝や一番奥の面
→ 奥歯の噛む面には細かな溝があり、一番奥の歯の後ろ側も歯ブラシが届きにくい場所です。 - 前歯の裏側
→ 歯ブラシを横向きにしたままでは、毛先が当たりにくいことがあります。 - 歯が重なっている部分
→ 歯並びによっては、通常の歯ブラシだけでは細かな部分まで磨けません。
このような場所を意識しないまま全体を大きく往復すると、磨いたつもりでも特定の場所に歯垢が残り続けます。歯磨きでは、歯の本数ではなく、歯の表側・裏側・噛む面・歯間部という「面」を意識することが大切です。
正しい歯ブラシの当て方と動かし方は?
正しい歯磨きでは、歯ブラシの毛先を磨きたい場所に直接当てます。歯ブラシを口の中で動かしていても、毛先が歯と歯茎の境目や奥歯に当たっていなければ、歯垢は十分に落とせません。
毛先が大きく広がらない程度の軽い力で、5~10mm程度の幅を目安に小刻みに動かします。一度に何本も磨こうとせず、1~2本ずつ進めていくのが基本です。
簡潔にいうと、毛先を磨きたい場所に当て、歯ブラシが広がらない程度の力で、小さく動かしましょう。
歯磨きの基本動作は、難しい技術ではありません。ただし、力任せに大きく動かすと、細かな部分に毛先が届きにくくなります。
次の3つを意識するだけでも、毎日の歯磨きの質を見直しやすくなります。
| 基本のポイント | 正しい方法 | 避けたい磨き方 |
|---|---|---|
| 毛先の当て方 | 歯の表面や歯と歯茎の境目に直接当てる | 歯の中央部分だけを磨く |
| 力加減 | 毛先が大きく広がらない程度の軽い力 | ゴシゴシと強く押しつける |
| 動かす幅 | 5~10mm程度の幅で小刻みに動かす | 複数の歯をまとめて大きく往復する |
| 磨く範囲 | 1~2本ずつ順番に磨く | 磨く場所を決めずに歯ブラシを動かす |
強い力で磨いたからといって、歯垢がその分よく落ちるわけではありません。力が入りすぎると毛先が寝てしまい、かえって細かな部分へ届きにくくなります。
また、強い歯磨きを長期間続けると、歯茎が下がったり、歯の根元がすり減ったりする原因になることがあります。鉛筆を持つように歯ブラシを握ると、余計な力が入りにくくなります。
歯はどのような順番で磨けばいいの?
歯磨きでは、どこから始めるかよりも、磨く順番を毎回決めておくことが重要です。順番が決まっていないと、同じ場所を何度も磨く一方で、一番奥の歯や歯の裏側を飛ばしやすくなります。
たとえば、右上の奥歯から始め、上の歯を一周してから下の歯を一周する方法があります。表側、裏側、噛む面を分けて磨く方法でも構いません。
自分が続けやすい順番を一つ決め、毎回同じルートで磨くことが大切です。
おすすめの一例は、次のとおりです。
- 右上の奥歯の外側から磨く
→ 奥歯から前歯へ向かい、反対側の奥歯まで順番に進めます。 - 上の歯の内側を磨く
→ 一番奥の歯から始め、歯の裏側を一周します。 - 上の奥歯の噛む面を磨く
→ 溝に毛先を当て、小刻みに動かします。 - 下の歯も同じ順番で磨く
→ 外側、内側、噛む面の順で磨きます。 - 前歯の裏側を縦磨きする
→ 歯ブラシを縦に持ち、歯ブラシの先端やかかとの部分を使います。 - 一番奥の歯の後ろ側を確認する
→ 口を大きく開けすぎず、少し閉じると頬が緩んで歯ブラシを入れやすくなります。
この順番は一例です。右側から始めても左側から始めても問題ありません。重要なのは、磨く経路を固定し、磨き飛ばしを防ぐことです。
歯磨きは何分、1日何回すればいいの?
歯磨きは、フッ化物配合歯磨き剤を使って1日2回、1回2分程度行うことが基本的な目安です。また、歯と歯の間は1日1回、デンタルフロスや歯間ブラシで清掃することが推奨されています。
ただし、2分経過すれば自動的に磨けているわけではありません。歯並びや口の大きさ、被せ物、矯正装置の有無によって、必要な時間は異なります。
1日2回・1回2分程度を基本とし、夜は歯間清掃まで丁寧に行いましょう。
特に就寝前の歯磨きは重要です。眠っている間は唾液の分泌量が少なくなり、口の中の汚れを洗い流す働きが弱くなります。朝は時間が取りにくいという方も、夜だけは次のような流れで丁寧にケアしましょう。
- デンタルフロスまたは歯間ブラシを使用する
- 歯ブラシで歯の表側・裏側・噛む面を磨く
- タフトブラシで磨きにくい場所を仕上げる
- フッ化物配合歯磨き剤を吐き出し、すすぎすぎない
大切なのは、時間の数字だけを守ることではなく、すべての歯面に毛先を当てることです。2分では磨き切れない方は、3分以上かかっても問題ありません。
食後すぐに歯を磨いてもいいの?
通常の食事の後は、口の中の汚れを長時間放置せず、生活の中で無理なく続けられるタイミングに歯を磨いて構いません。「食後は必ず30分待たなければならない」と、一律に考える必要はありません。
ただし、炭酸飲料、柑橘類、酢を多く使った食品など、酸性の飲食物を頻繁に摂る方は、歯の表面への影響に注意が必要です。
一般的な食事の後は無理に待つ必要はありませんが、酸性の飲食物が多い方は歯科医院で相談しましょう。
酸性の飲食物を摂った後に口の中が気になる場合は、まず水で口をすすぐ方法があります。また、酸性飲料を時間をかけて少しずつ飲み続ける習慣は、口の中が酸性になる時間を長くするため注意が必要です。
歯磨きのタイミングだけでなく、飲食の回数や摂り方も虫歯予防に関係します。
磨き残しやすい場所はどのように磨けばいいの?
歯磨きでは、すべての場所を同じように磨くのではなく、歯の形や生えている位置に合わせて歯ブラシの向きを変える必要があります。特に、歯と歯茎の境目、奥歯、前歯の裏側、歯が重なった部分は磨き残しが多くなります。
磨きにくい場所では歯ブラシの向きを変え、必要に応じてタフトブラシを使いましょう。
磨き残しやすい場所には、それぞれに適した毛先の当て方があります。歯ブラシを常に横向きに持つのではなく、場所に応じて縦や斜めに変えることがポイントです。
毎日の歯磨きで見落としやすい場所と、磨き方のコツを整理します。
| 磨き残しやすい場所 | 磨き方のコツ | 役立つ清掃用具 |
|---|---|---|
| 歯と歯茎の境目 | 毛先を境目に当て、軽い力で小刻みに動かす | 歯ブラシ |
| 歯と歯の間 | 歯ブラシだけに頼らず、歯間部を別に清掃する | デンタルフロス、歯間ブラシ |
| 前歯の裏側 | 歯ブラシを縦に持ち、先端やかかとを当てる | 歯ブラシ、タフトブラシ |
| 一番奥の歯の後ろ側 | 口を少し閉じ、歯ブラシの先端を奥まで入れる | 小さめの歯ブラシ、タフトブラシ |
| 歯が重なった部分 | 重なりの内側へ毛先をピンポイントに当てる | タフトブラシ |
| 被せ物の境目 | 歯茎との境目に歯垢を残さないように磨く | 歯ブラシ、デンタルフロス |
歯並びや治療した歯の状態は、一人ひとり異なります。同じ歯ブラシを使っていても、毛先が届きにくい場所は人によって違います。
「右上の奥歯だけ虫歯を繰り返す」「下の前歯に歯石が付きやすい」など、いつも同じ場所に問題が起こる場合は、その場所に合った磨き方を歯科医院で確認することが大切です。
デンタルフロスと歯間ブラシは使った方がいいの?
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことが大切です。歯周病は歯間部から進行することが多く、歯ブラシだけでは十分に清掃できない場合があります。
ただし、すべての方に同じ清掃用具が適しているわけではありません。歯間の広さ、歯茎の状態、ブリッジやインプラントの有無などによって使い分けます。
歯間が狭い場所にはデンタルフロス、隙間が広い場所には歯間ブラシが適しています。
清掃用具は、種類を増やせばよいわけではありません。自分の口の中で歯垢が残りやすい場所に合わせて選ぶことが重要です。
主な清掃用具の役割と、向いている場所を比較します。
| 清掃用具 | 主な役割 | 向いている人・場所 | 使用時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 歯ブラシ | 歯の表面、裏側、噛む面を磨く | すべての方 | 強く押しつけず、小刻みに動かす |
| デンタルフロス | 歯と歯が接触している部分を清掃する | 歯間が狭い場所 | 歯茎へ勢いよく押し込まない |
| 歯間ブラシ | 歯と歯の間や歯の根元を清掃する | 歯間が広い方、歯周病がある方 | 無理なく入るサイズを選ぶ |
| タフトブラシ | 細かく磨きにくい場所をピンポイントで磨く | 奥歯、重なった歯、矯正装置の周囲 | 仕上げ用として使用する |
| スーパーフロス | 連結部分や装置の下を清掃する | ブリッジや矯正装置がある方 | 使用方法を歯科医院で確認する |
歯間ブラシは、太すぎるサイズを無理に入れると歯茎を傷つけることがあります。細すぎても歯面に十分触れず、汚れを落としにくくなります。
どのサイズを選べばよいかわからない場合は、歯科健診の際に歯科医師や歯科衛生士へ相談しましょう。複数のサイズを場所ごとに使い分ける場合もあります。
デンタルフロスは歯磨きの前と後のどちらに使うの?
デンタルフロスを歯磨きの前に使うか、後に使うかについて、絶対的な決まりがあるわけではありません。大切なのは、順番にこだわって使わなくなることを避け、1日1回の歯間清掃を習慣にすることです。
歯磨き前にフロスを使うと、歯と歯の間に残った汚れを先に取り除けるため、その後に使用するフッ化物配合歯磨き剤が歯間部へ届きやすくなると考えられます。
迷った場合は「デンタルフロスを先に行い、その後に歯磨き」の順がおすすめです。
ただし、歯磨き後でなければ続けられない方は、後でも構いません。歯間清掃をしないことに比べれば、生活の中で続けられる順番で行う方が重要です。
夜の歯磨きでは、次の順番にすると忘れにくくなります。
- デンタルフロスまたは歯間ブラシ
- 通常の歯ブラシ
- タフトブラシ
- 歯磨き剤を吐き出す
- 少量の水ですすぐ
無理にすべての清掃用具を使う必要はありません。歯の状態に合わせて、必要なものを選びましょう。
歯ブラシはどのように選べばいいの?
歯ブラシは、口の大きさや歯並び、歯茎の状態に合うものを選びます。ヘッドが大きすぎると奥歯まで届きにくくなり、小さすぎると磨くのに時間がかかることがあります。
毛の硬さは「ふつう」を基本とし、歯茎に腫れや痛みがある方、歯科治療後で刺激を避けたい方などは「やわらかめ」を検討します。
奥歯まで届く大きさで、軽い力でも毛先が歯面に沿う歯ブラシを選びましょう。
歯ブラシを選ぶときは、次の点を確認してください。
- ヘッドが大きすぎないか
→ 一番奥の歯まで無理なく届くサイズを選びます。口が小さい方は、コンパクトヘッドが使いやすい場合があります。 - 毛先が極端に硬くないか
→ 硬い毛を強く当てると、歯茎や歯の根元へ負担をかける可能性があります。 - 持ち手を安定して握れるか
→ 細すぎる、太すぎるなど、自分にとって動かしにくい形状は避けます。 - 歯並びに合っているか
→ 歯が重なっている方や奥歯が磨きにくい方は、通常の歯ブラシにタフトブラシを加えるとよいでしょう。
毛先が開いた歯ブラシは、歯面に毛先を当てにくくなります。1か月程度を目安に確認し、毛先が開いている場合は早めに交換しましょう。
短期間で毛先が大きく開く方は、磨く力が強すぎる可能性があります。交換頻度だけでなく、歯磨きの力加減も見直してください。
歯磨き粉はどのように選べばいいの?
成人の虫歯予防では、フッ化物配合歯磨き剤を選ぶことが基本です。国内では1,450ppm程度までのフッ化物配合歯磨き剤が販売されており、年齢に合った濃度と使用量を守ることが重要です。
フッ化物には、初期の虫歯で失われたミネラルの再石灰化を促し、歯質を強くする働きがあります。
成人はフッ化物濃度を確認し、口の悩みに合った歯磨き粉を選びましょう。
歯磨き粉は、パッケージの印象だけでなく、配合成分と使用目的を確認して選びます。「ホワイトニング用」「歯周病用」と書かれていても、歯磨き粉だけで歯の病気が治るわけではありません。
口の中の状態や悩み別に、歯磨き粉を選ぶポイントを整理します。
| 気になる症状・目的 | 選ぶときのポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 虫歯を予防したい | 年齢に合ったフッ化物配合歯磨き剤を選ぶ | 使用後に何度も強くすすがない |
| 歯がしみる | 知覚過敏を抑える成分が含まれた製品を検討する | 症状が続く場合は虫歯などの確認が必要 |
| 歯周病が気になる | 殺菌成分や抗炎症成分を含む製品を検討する | 歯磨き粉だけで歯周病は治療できない |
| 着色汚れが気になる | 清掃成分や研磨性を確認する | 強く磨かず、知覚過敏がある場合は注意する |
| 歯の根元が露出している | 研磨性の低い製品を検討する | 強い歯磨きや歯肉退縮の原因を確認する |
歯磨き粉は、たくさん付ければ汚れがよく落ちるわけではありません。また、泡立ちが強い製品では、短時間でも磨けたように感じてしまうことがあります。
歯磨き剤の効果を活かすには、歯ブラシを適切に当てて歯垢を落とすことが前提です。歯磨き剤は、歯磨きそのものの代わりではなく、虫歯予防や知覚過敏対策を補助するものと考えましょう。
歯磨き後のすすぎは何回すればいいの?
フッ化物配合歯磨き剤を使用した後は、歯磨き剤を吐き出し、少量の水で軽くすすぐ方法があります。何度も多量の水ですすぐと、口の中に残るフッ化物の量が少なくなります。
歯磨き後は、可能であればしばらく飲食を控えるとよいでしょう。ただし、製品によって使用方法が異なるため、パッケージの表示も確認してください。
フッ化物配合歯磨き剤を使った後は、すすぎすぎないことがポイントです。
以前は、歯磨き後にフッ素ジェルを追加する方法が広く紹介されることもありました。しかし現在は、高濃度のフッ化物を配合した歯磨き剤も市販されています。
虫歯になりやすい方、歯の根元が露出している方、口が乾きやすい方などは、フッ素ジェルを追加した方がよい場合もあります。すべての方が一律に使用するのではなく、歯科医師や歯科衛生士へ相談しましょう。
電動歯ブラシと手磨きはどちらがいいの?
電動歯ブラシと手磨きは、どちらも正しく使用すれば歯垢を落とすことができます。電動歯ブラシを使うだけで、すべての磨き残しがなくなるわけではありません。
一方、一定時間磨くためのタイマーや、強く押しつけたときに知らせる圧力センサーが付いた製品もあり、歯磨きの力加減や時間を管理しやすいという特徴があります。
手磨きと電動歯ブラシのどちらが優れているかよりも、正しい当て方で毎日続けられるかが重要です。
電動歯ブラシが向いている可能性があるのは、次のような方です。
- 手磨きで歯ブラシを大きく動かしてしまう方
- 歯磨きの時間が短くなりやすい方
- 手指を細かく動かしにくい方
- 力を入れすぎて毛先がすぐ開く方
- 矯正装置や被せ物の周囲を丁寧に清掃したい方
ただし、電動歯ブラシは機種によって動かし方が異なります。手磨きのように大きく動かさず、歯面へ順番に当てていくタイプもあります。
説明書に従い、歯と歯茎の境目や一番奥の歯へ毛先が当たっているかを確認しましょう。
歯磨きで歯茎から血が出るときはどうすればいいの?
歯磨きやデンタルフロスを使用したときに歯茎から血が出る場合、歯肉炎や歯周病によって歯茎に炎症が起こっている可能性があります。
出血する場所を怖がってまったく磨かなくなると、その場所にさらに歯垢がたまり、炎症が悪化することがあります。
出血する場所を強く磨くのは避けつつ、やさしく清掃し、出血が続く場合は歯科医院を受診しましょう。
歯茎から出血するときは、次の点に注意してください。
- 歯ブラシを強く押しつけない
- やわらかめの歯ブラシを検討する
- 歯と歯茎の境目をやさしく磨く
- デンタルフロスを勢いよく入れない
- 数日から1週間程度たっても出血が続く場合は相談する
- 腫れ、痛み、口臭、歯の揺れがある場合は早めに受診する
出血の原因は、歯磨きの力が強いことだけとは限りません。歯石が付着している場合は、自宅の歯磨きでは取り除けないため、歯科医院での処置が必要です。
歯磨きをしているのに虫歯や歯周病になるのはなぜ?
毎日歯を磨いていても、同じ場所に歯垢が残っていれば虫歯や歯周病になる可能性があります。歯磨きの回数だけでなく、毛先が必要な場所に届いているかを確認することが重要です。
また、虫歯は歯磨きだけで決まるものではありません。甘い飲食物を摂る回数、唾液の量、歯質、フッ化物の使用状況なども関係します。
歯磨きの回数が十分でも、磨き残しや間食の頻度などによって虫歯や歯周病は起こります。
よくある原因には、次のようなものがあります。
- 歯と歯の間を清掃していない
- 奥歯や歯の裏側に歯ブラシが届いていない
- 強い力で歯ブラシを大きく動かしている
- 歯磨き時間が短い
- 甘い飲み物や間食を頻繁に摂っている
- フッ化物配合歯磨き剤を使用していない
- 歯石が付着している
- 詰め物や被せ物の境目に段差がある
- 口が乾燥している
- 歯並びに合った清掃用具を使っていない
「これだけ磨いているのに、また虫歯になった」という方は、歯磨き時間をさらに延ばす前に、磨き残している場所を確認する必要があります。
歯科医院では、歯垢を染め出して残っている場所を確認したり、歯並びに合わせた歯ブラシの当て方を提案したりできます。一般論だけでなく、その方の口の中に合う方法を知ることが、セルフケア改善への近道です。
自宅の歯磨きだけでは落とせない汚れがあるの?
毎日の歯磨きは虫歯や歯周病の予防に欠かせませんが、自宅のケアだけですべての汚れを完全に除去するのは困難です。
特に、歯垢が硬くなった歯石は、歯ブラシやデンタルフロスでは取り除けません。歯科医院で専用の器具を使って除去する必要があります。
歯垢は歯磨きで落とせますが、硬くなった歯石は歯科医院での処置が必要です。
歯石の表面はざらついており、新しい歯垢が付着しやすくなります。また、歯茎の中に歯石が付いている場合は、自分で見つけることが難しいこともあります。
歯周病は、初期段階では強い痛みが出ないことがあります。自覚症状がなくても、歯茎からの出血や歯周ポケットの深まりが進んでいる場合があります。
自宅での歯磨きと歯科医院でのケアは、どちらか一方を選ぶものではありません。毎日のセルフケアで歯垢を減らし、歯科医院で自分では取れない歯石や磨き残しを確認することが大切です。
歯科医院で磨き方を確認した方がいいのはどんな人?
歯磨きの方法は、歯並び、歯茎の状態、治療した歯の種類によって変わります。一般的な磨き方を続けても同じ場所に問題が起こる場合は、自分の口に合っていない可能性があります。
歯科医院では、歯垢が残っている場所を確認し、歯ブラシの持ち方や当て方、清掃用具の選び方を一人ひとりに合わせて提案できます。
同じ場所に虫歯や出血を繰り返す方は、自己流の歯磨きを一度見直しましょう。
特に、次のような方は歯科医院で磨き方を確認することをおすすめします。
- 歯磨きのたびに歯茎から血が出る
- 同じ歯に虫歯を繰り返す
- 歯石が付きやすい
- 歯茎が下がってきた
- 冷たい物がしみる
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
- 歯並びが重なっている
- 矯正装置を使用している
- ブリッジやインプラントが入っている
- 歯間ブラシのサイズがわからない
- 電動歯ブラシを正しく使えているか不安
歯磨き指導は、できていない点を注意されるためのものではありません。自分では気づきにくい癖を確認し、短い時間でも効率よく磨ける方法を知るためのものです。
歯磨きを頑張っている方ほど、少し毛先の向きを変えるだけで結果が大きく変わることがあります。
正しい歯磨きに関するQ&A
Q1.歯磨きは1日3回しなければいけませんか?
1日2回の歯磨きを基本とし、特に就寝前は丁寧に磨きましょう。昼食後にも磨ける場合は行って構いませんが、回数だけでなく、毛先が必要な場所へ当たっているかが重要です。
歯磨きの回数を増やしても、毎回強い力で磨いていると歯茎や歯の根元へ負担をかける可能性があります。
回数を増やすことより、朝と夜の歯磨きを正しく行うことが大切です。
Q2.歯磨きは長時間するほどきれいになりますか?
長時間磨いても、同じ場所ばかり往復していると磨き残しは減りません。1回2分程度を目安に、すべての歯の表側、裏側、噛む面を順番に磨きましょう。
歯並びや治療状況によっては、2分以上必要になることもあります。
時間の長さより、決めた順番ですべての歯面を磨くことが重要です。
Q3.歯磨き粉を使わずに磨いても大丈夫ですか?
歯ブラシだけでも歯垢を落とすことはできますが、虫歯予防のためにはフッ化物配合歯磨き剤の使用がすすめられます。
歯磨き粉を付けるだけでは効果を十分に得られないため、毛先を歯面へ正しく当てることも必要です。
歯垢を落とす歯磨きと、フッ化物による虫歯予防を組み合わせましょう。
Q4.デンタルフロスと歯間ブラシは両方使う必要がありますか?
歯と歯の間が狭い場所にはデンタルフロス、隙間が広い場所には歯間ブラシが適しています。すべての場所に両方を使う必要はありません。
歯間の状態は場所によって異なるため、複数の清掃用具を使い分けることもあります。
歯間の広さに合わせて、適した清掃用具を選びましょう。
Q5.歯磨きで歯石を取ることはできますか?
歯垢が石のように硬くなった歯石は、歯ブラシやデンタルフロスでは取り除けません。無理に市販器具などで取ろうとすると、歯や歯茎を傷つける可能性があります。
歯石が気になる場合は、歯科医院で専用の器具を使って除去してもらいましょう。
歯垢は自宅で除去できますが、歯石は歯科医院での処置が必要です。
まとめ
正しい歯磨きの基本は、歯ブラシの毛先を磨きたい場所にきちんと当て、軽い力で小刻みに動かすことです。歯ブラシを大きく往復させるだけでは、歯と歯茎の境目や奥歯、歯の裏側などに歯垢が残ることがあります。
歯磨きをするときは、毎回同じ順番で1~2本ずつ磨き、磨き飛ばしを防ぎましょう。1日2回、1回2分程度を基本とし、特に就寝前はデンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間も清掃することが大切です。
また、歯並びや歯茎の状態、被せ物やインプラントの有無によって、適した歯ブラシや清掃用具は異なります。万人に共通する「一本の歯ブラシだけで完璧に磨く方法」があるわけではありません。
自分では丁寧に磨いているつもりでも、同じ場所に虫歯や出血を繰り返す場合は、磨き方や道具が口の状態に合っていない可能性があります。歯科健診では、磨き残しの場所を確認し、一人ひとりに合った歯ブラシの当て方やデンタルフロス、歯間ブラシの使い方をご案内できます。
毎日の歯磨きを「何となく行う習慣」から、「汚れが残りやすい場所を狙って清掃する習慣」へ変えることが、虫歯や歯周病の予防につながります。
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