
毎日の歯磨き、「いつ磨くのがベスト?」と悩んでいませんか?
このページは、正しい歯磨きのタイミングや回数、忙しい人でも実践できる口腔ケアのコツについて知りたい方のための記事です。
この記事はこんな方におすすめです。
- 朝や夜、いつ歯を磨くのがいいかわからない方
- 外出先や仕事中、「歯磨きができない」と感じている方
- 虫歯や歯周病を予防したい、より効果的な習慣を身につけたい方
- ご自身やお子さんの歯磨き習慣を見直したい方
この記事を読むとこんなことがわかります
- ライフスタイルに合った歯磨きの「ベストなタイミング」
- 忙しい日常でも無理なく続けられるケア方法やアドバイス
- 歯科医師の経験にもとづく、夜や間食後など“ここだけは”押さえたいポイント
- よくある誤解や気軽に相談できる工夫
「自分はちゃんと磨けている?」そんな不安や疑問を解消し、“一生使えるお口の健康習慣”を身につけたい方に、役立つヒントをわかりやすくお届けします。
目次
1日の中での歯磨きのタイミング

1. 朝起きた後
朝起きた直後は、睡眠中に唾液の分泌が減少し、細菌が増殖しています。そのため、朝食前に歯を磨くことで、口腔内の細菌を減らし、健康な状態を保つことができます。
朝の歯磨きについては、「起きてすぐ磨くのがいいのか、食後がいいのか?」と多くの患者さんからご質問いただきます。診療経験上、口臭や細菌が気になる方には“朝起きてすぐ”、虫歯予防を重視する方は“朝食後”の歯磨きも取り入れると安心です。起きてすぐと朝食後の2回、しっかり磨けると理想的ですが、朝は忙しい時間帯ですので、無理のない範囲で行いましょう。
2. 食後すぐ
特に食事後30分以内の歯磨きが推奨されます。食後は口の中が酸性になるため、歯が溶けやすい状態になっていますが、30分経過することで唾液が中和し、歯磨きによるダメージを防ぐことができます。
3. 間食後
間食後も歯磨きを行うと、虫歯予防に役立ちます。特に砂糖を含む食べ物や飲み物を摂取した後は、歯垢が酸を生成しやすいため、早めに除去することが大切です。
4. 寝る前
夜は最も重要なタイミングの一つです。寝ている間は唾液の分泌が減り、細菌が増殖しやすくなります。就寝前の歯磨きで食べ物の残りカスや歯垢をしっかり除去し、虫歯や歯周病のリスクを減らしましょう。
実際に、「夜だけしっかり磨くだけで虫歯や歯周病の進行が遅くなった」という例も少なくありません。間食後や就寝前の歯磨きを欠かさないことで、お口のトラブルがぐっと減った患者さんが多いのも事実です。忙しい方ほど、“夜だけは徹底して磨く”を合言葉にしましょう。
5. 口の中が乾いたとき
口の中が乾燥すると、唾液の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。口の中が乾いていると感じたときにも、歯磨きを行うことで口腔内を清潔に保つことができます。
タイミング | メリット | デメリット | おすすめ度 |
---|---|---|---|
起床後 | ・寝ている間に増えた細菌を洗い流せる・口臭対策になる | ・朝食後に再び歯垢がつく可能性がある | ★★★★☆ |
朝食後 | ・食後の酸を中和し、虫歯リスクを減らせる・口腔内を清潔に保てる | ・すぐ磨くと酸によって歯が削れやすくなる(※食後30分ほど空けた方がベター) | ★★★★★ |
昼食後 | ・午後の口臭や歯垢の蓄積を予防できる | ・外出先では歯磨きが難しいことも | ★★★☆☆ |
夕食後 | ・寝る前に口内環境を整えやすい | ・その後に間食をすると再度歯磨きが必要 | ★★★★☆ |
就寝前 | ・虫歯や歯周病を防ぐうえで最重要のタイミング・寝ている間の細菌繁殖を抑えられる | ・しっかり時間をかけて磨かないと効果が薄れる・磨いた後に飲食してしまうと効果が半減 | ★★★★★ |
歯磨きのタイミングは通常は食後30分以内
食後の口腔内は酸性に傾きますが、唾液の働きにより時間をかけてアルカリ性に戻していきます。同時に歯からミネラルが溶け出した部分が唾液の再石灰化によって修復され、再び硬いエナメル質が形成されます。
「酸蝕症」といわれる酸性の食べ物をよく口にすることでエナメル質が薄くなっている人には、食後30分ほど時間を空けてから歯磨きをした方が良いです。しかし大半の人は酸性の時間を短くするという観点でいえば、食後30分以内に歯磨きをした方がいいということになります。
虫歯菌の増えるタイミングはあるの?
お口の中の虫歯菌が最も増えるのは、唾液の分泌が少なくなる就寝中です。そのため、寝る前に歯磨きをして食べかすや歯垢(プラーク)をしっかり取り、朝起きてから食事をする前に歯磨きをして、夜間に増殖した虫歯菌を洗い流すのが良い歯みがきのタイミングであるといえます。
- 朝の歯磨きは、就寝中に溜まってしまったプラークを磨き落とし、口臭を予防します。
- 夜の歯磨きは、就寝中にプラークが増えやすくなるため、食べカスをきれいに掃除してむし歯菌や歯周病菌などの細菌増殖を防ぐための歯磨きです。
出来るだけ一日朝昼晩の毎食後にブラッシング(歯磨き)を行う事が大切です。毎日3回の歯磨きを心がけましょう。
しかし、仕事などで1日3回のブラッシング(歯磨き)が難しい場合は、夜だけでも丁寧に磨きましょう。就寝中は唾液の分泌量が下がるため、口腔内のトラブルのリスクが高くなるためです。
歯磨きする時間は長い方がいいの?
歯みがき時間の長さは必要ありません。歯磨きする時間が長すぎると、ブラッシングによって歯のエナメル質や歯茎を傷つける可能性があります。歯磨きはあまり長い時間行わず、歯1本に対して20~30回程度を目安に磨きましょう。
- 歯を細かく磨ける鉛筆の持ち方で歯ブラシを持ちましょう。
- 磨く際の圧力は、100~150グラムと、ほんの少しの力で十分です。
歯ブラシの持ち方が悪いと歯に圧力がかかりすぎて口腔内を傷つけてしまいます。また、力を入れて磨きすぎたために歯面に細かい傷が出来てしまうと、そこに汚れがたまってかえって汚れが落ちにくくなってしまいますので、正しい歯ブラシの持ち方と適切な圧でのブラッシングを心がけましょう。
歯磨きができない時は?
外出先などで歯磨きが難しい場合の対処法を3つご紹介します。
1.口をすすぐ、うがいをする
水で口をすすぐことで食べカスを洗い流すことができます。口をすすぐと食事によって酸性に傾いていた口腔内が中和され、虫歯のリスクが低くなる可能性があります。
マウスウォッシュを使用すると口臭予防にも効果があります。
2.ノンシュガー、キシリトール100%のガムを噛む
食後にガムを噛むと、咀嚼によって唾液が分泌され、口腔内を中和させる効果が見込まれます。噛むガムは、できるだけノンシュガーを選び(砂糖入りは、細菌の餌となってしまうため)、キシリトール100%のガムも望ましいです。
キシリトールは虫歯菌の増殖を抑える効果が見込まれます。
3.指磨きを行う
指磨きとは、自分の指を使って歯の汚れを落とす方法です。直接指を使うことに抵抗があれば、市販の歯磨きシートを活用すると良いでしょう。
朝の歯磨きは、起きて直ぐ?それとも食後?
歯磨きは「食べカスを落とす」というだけではなく、「歯垢を除去する」ためにするものでもあります。
朝起きてすぐに磨いた方がいい?
人は夜寝ている間に唾液の分泌が激減し、口腔内は細菌が繁殖しやすい環境にあります。 起きて直ぐに口臭が気になるのはこのためです。
それだけ口腔内は汚れているので、朝食前に起きて直ぐ歯磨きすることをおすすめします。
朝食後は磨かなくていいの?
食後は口の中に食べカスが残りますし、そのまま時間が経過すれば口腔内の細菌の活動によって歯垢が形成されます。できれば、起きて直ぐと朝食後に磨くことをお勧めいたします。
丁寧なブラッシングを行うことは、歯の健康を保つことに繋がります。
歯磨きのタイミングに関するQ&A
一般的には食後30分以内に歯磨きをすることが推奨されています。
歯磨きの時間は特定の長さが必要ではなく、歯1本に対して20~30回程度を目安に磨くことが大切です。
酸蝕症は酸性の食べ物をよく口にすることで歯のエナメル質が薄くなる状態を指します。
虫歯菌が最も増えるのは唾液の分泌が少なくなる就寝中です。
歯磨きができない時は、口をすすぐ、キシリトール100%のガムを噛む、指磨きをするなどの対処法があります。
まとめ

忙しくて日中はなかなか歯みがき出来ない方も、夜だけは丁寧にブラッシングしましょう。虫歯や歯周病の原因となる菌は、唾液の分泌の少ない夜の間に繁殖します。
日中の歯みがきはライフスタイルに合わせて、外出が多い方はうがいで済ませるなど、無理のないように行いましょう。