歯と口のトラブル

親知らずで噛むと痛い理由は?

親知らずで噛むと痛い理由は?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

親知らずで食べ物を噛むと痛いという方がおられます。今日は、親知らずがなぜ噛むと痛くなるのか理由も含めて詳しくご紹介いたします。

親知らずとは

一般的に親知らずと言われる歯は、専門的に第三大臼歯や智歯(ちし)と呼ばれ、真ん中の前歯から数えて8本目の奥歯の位置にあります。英語ではwisdom toothと言います。wisdomとは知恵や分別を指し、知恵や分別がつく年齢になってから生える歯という意味です。日本語では、親が知らないうちに生える歯と呼びますが、意味は近しい物です。

親知らずの発達の流れ

歯は歯胚という小さな歯の卵の状態で歯茎の下にあるあごの骨(顎骨)の中で成長します。成長しきると歯は生えますが、親知らずの場合10歳前後にあごの骨の中に歯胚として発育し、15歳頃に生える方や、20歳過ぎて生えるという方もおられます。乳歯から永久歯に生え変わる時に、生える(萌出する)順番がありますが、親知らずは最も遅く生える歯です。場合によっては、先天的な遺伝などで全く生えない先天性欠如の方もおられます。

親知らずの昔と現在

クロマニヨン人など昔の人類は現代の人類とくらべて、固い木の実など咀嚼が必要な食べ物を食べていました。そのため、しっかりと上下で噛む回数が増え発達し、広さのあるあごに発達していた状態でした。親知らずも、通常の奥歯として使用していたと記録にあります。

ところが、近年は加工技術の進化に伴い、食生活の変化が起こり、柔らかい食べ物が増えて、食事の際に噛む回数が減ってきました。それにより、顎が狭くなり、親知らずの生えるスペースがない方が多いです。

  • 隣接する歯によりかかるよう斜めに生えてきた
  • 噛み合わせる歯の表面(歯冠)が半分だけ歯肉に隠れて生えている(半埋伏歯)
  • 親知らずは生えていないと思っていたが、実は歯肉の中に横向きに隠れている(埋伏歯)

埋伏歯にも水平に埋まっている水平埋伏智歯・逆さ向きに骨に埋まっている逆性埋伏智歯など様々な種類があります。下の顎(下顎)に埋伏歯が埋まっていると、神経や血管が中に走る重要な下顎管に障ってしまうというリスクがあります。トラブルになる可能性があるので、下顎管に障るような状態で生えている場合は、抜歯をおすすめします。

噛むと痛い症状がある場合

なにもお口に入れていない状態ならば痛くはないのに、食べ物を噛む時になると親知らずが痛むケースではどうすれば良いでしょうか。先程もご案内しましたが、親知らずがまっすぐに生える方が近年では少ないです。斜めや半分歯肉に埋まった状態で生えてくると、奥歯に重なりが生まれたり、清掃しにくい部分が生じます。毎日歯ブラシで歯磨きをしていても、奥歯の位置をきれいに磨くのは難しいです。

  1. 食べかすや歯垢(プラーク)が歯の表面に付着する
  2. 除去が出来なければ、歯垢は唾液の中の物質と結合し、歯石になる
  3. 歯石は歯周組織に沈殿しクリーニングでなければ取り除くことはできない
  4. 虫歯や歯周病の原因になり、奥歯の親知らずが細菌感染を起こしてしまう

智歯周囲炎や虫歯による痛み

親知らずの周りに炎症が起きる状態を智歯周囲炎と呼びます。智歯周囲炎や智歯のむし歯では、下記のような症状が起きやすいです。

  • 奥歯の歯茎から口臭がする
  • 親知らずで噛むと痛む
  • 頬や歯茎が腫れている
  • 口を閉じる時に奥歯が当たると痛い

そのほかの原因による痛み

上下の歯を噛み合わせたら違和感や痛みがある
上の顎(上顎)だけ親知らずが生えてきて、下に噛み合わせる親知らずがない方もおられます。そのため、噛む度に、下の歯茎や粘膜を傷つけるトラブルになります。

口を大きく開けるのがつらい
下顎には筋突起という関節の突起があります。筋突起はお口を閉じる閉口運動に関係するため、親知らずが生えてその筋突起に障ると、お口が開けづらい状態になります。

親知らずが萌出する際に痛みを感じる
親知らずが生えるスペースがなければ、隣や前の歯を押して親知らずが出てこようとするという理由です。

痛みがある場合は必ず歯科医院へ行くこと

上記のような違和感や痛みなど自覚症状がある場合は、必ず歯科医院を受診し、歯科医師の対処を受けましょう。特に、親知らずを残してもよい顎の広さを持った方は、現代においては少ないです。抜歯の治療法も一回で抜けるのか、破折して二回で行うのか等確認し診断をしてもらうことが大切です。

まとめ

子供の頃はよかったのに、急に成人してから歯並びが悪くなったという方は、親知らずが関連している場合が多いです。奥歯のあたりが噛むと気になる痛みがある、もしくは少し生えてきた等があれば、歯医者さんへご相談ください。抜歯を行うのが適切かどうかなど詳しく説明してくれます。

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック