
大人の矯正と子供の矯正には違いがありますので、ご説明します。
子供の矯正と大人の矯正は何が違うの?
子供の矯正と大人の矯正の違いを項目別にみていきましょう。
- 成長発育の有無
- 装置の見た目
- 装置のつけ心地
- 会話のしやすさ
- 歯周病
- 歯の損傷・欠如
- 咬合性外傷
- 全身の健康状態
- 協力度
- 理解度
- 社会環境上の許容度
成長発育の有無
成長発育の有無は、大人と子どものもっとも大きな違いです。子供は成長発育中で顎骨もこれから成長して大きくなりますが、大人は既に成長が止まっています。
成長発育の有無は、矯正治療を行っていく上では大きな違いとなります。具体的には、子供の場合は骨の発育を利用して、理想的な大きさに顎を成長させたり、逆に骨の過成長を抑えて遺伝による受け口や出っ歯を防ぐことが可能です。
大人はもし顎が小さくて歯が並びきらずにガタガタになっていたとしても、顎を大きく広げて歯を並べるということが出来ません。そのため、大人の場合は小臼歯を合計4本抜歯してスペースを作って、歯を一列に並べていくことになります。
装置の見た目
装置が人からどのように見えるかは、特に仕事を持つ大人にとっては大きな問題になる場合があります。大人は出来るだけ目立たない矯正装置を希望するのに対して、子供は大人程には見た目を気にしないということがあります。
大人は装置の見た目の問題を解決するために、装置を歯の裏側に装着したり、透明のマウスピースを利用する方も多くおられます。
子供は見た目よりも、スポーツや楽器の演奏などの妨げにならないような装置が必要になる場合があります。
装置を検討する際には患者さんのニーズに合わせて装置を選択します。
装置のつけ心地
矯正装置を実際にお口の中に付けた時の付け心地も重要です。大人の方で、アナウンサー、ナレーター、矯正、セミナー講師、営業、カウンセラーなど、喋ることが重要なポイントになる職業についている場合は、装置の選択の際に慎重に考慮したり工夫する必要があります。
歯周病、歯の損傷、欠如
大人の場合は歯周病にかかっていたり、抜歯してブリッジやインプラントにしていることがあります。
歯周病の患者さんに対する矯正治療では、4mm以上の歯周ポケットのある患者さんが矯正治療を受けると、歯周ポケット内にプラークや歯石が存在することで、歯を動かすための矯正力が歯周病菌の活動を活発にさせて歯周病が悪化するといった報告があります。
しかし歯周病患者さんに対して矯正治療は無理なのかというと、必ずしもそうではありません。歯周病治療によって歯茎の状態が改善して安定していれば、無理な力をかけない限りにおいては、矯正治療が歯周病を悪化させるわけではないという報告もあります。
ブリッジにしておられる患者さんに対しては、ブリッジを一旦外して、矯正治療を終えてからもう一度ブリッジの治療をやり直すということもあります。
インプラントは顎骨に埋まっていて動きませんので、矯正治療の際にはインプラントの歯を動かさずに他の歯の位置を変えることで、最終的にきれいな歯並びに整えます。
また、虫歯を治療しないまま放置している場合は、一般的には歯科治療の終了後に矯正治療を行います。
協力度・理解度
大人の場合は、矯正治療の目的がはっきりしており、治療に積極的であるため、治療への協力度が良好です。
子供の場合は親などにすすめられて矯正治療を受けている場合があり、本人の意思で行っているのではないため、あまり治療に積極的になれず、協力的でもないというケースも見受けられます。しかし、いざ装置を付けてみると、順応性が高く、装置に慣れやすいのは子供の方です。
まとめ

大人の矯正と子供の矯正の違いについてご説明しました。一番大きな違いは、子供は骨が発育途中なので、顎骨が適切な大きさに成長するように促したり、逆に過成長を抑制したり出来るということです。大人は成長が終わっているために、顎の大きさを変えることが出来ません。
特に遺伝性の受け口や出っ歯に関しては、小児矯正で顎を適切な大きさに成長させることで、歯並びをきれいに一列に並べることが可能です。
一方、顎の骨が小さいことが原因で歯並びがガタガタの大人は、抜歯矯正が必要になりますし、骨格が原因の受け口や出っ歯は外科矯正の手術をしないと骨格は治りません。