歯と口のトラブル

顎関節症の症状と対処について

顎関節症の症状と対処について

顎関節症は、関節や筋肉に問題が生じ、痛みや動きの制限を引き起こす病気です。基本的な知識、具体的な症状や原因、対処法や予防法についてご説明します。

顎関節症とは

顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎の関節や筋肉に問題が生じることで、痛みや動きの制限を引き起こす病気です。顎関節は耳のすぐ前に位置し、下あごと頭蓋骨を結びつけています。この関節は、咀嚼や話す際に重要な役割を果たしており、異常が生じると日常生活に大きな影響を与えます。

顎関節症の主な症状

顎関節症

症状は様々で、以下のようなものがあげられます。

  • あごが動かしにくい
  • 食べ物が噛みにくい
  • あごを動かすと痛みを感じる
  • あごを動かすと変な音がする
  • 口が大きく開けられない
  • 口を上下左右に動かしにくい

これらの症状が現れた場合、早期の診断と治療が重要です。

顎関節症の原因

原因は様々で、複数の要因が重なって発症すること多いとされています。

  1. 歯ぎしりや食いしばり
  2. ストレス
  3. 噛み合わせの問題
  4. うつぶせ寝、猫背などの癖
  5. 外傷やけが
  6. 関節や筋肉の異常
  7. 被せ物、詰め物、入れ歯などが合っていない
  8. 遺伝的要因

1. 歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、歯や関節に過剰な負担をかける主な原因となります。これらの習慣は無意識のうちに行われることが多く、特に夜間の歯ぎしりは知らないうちに起こって歯や関節に大きな負担をかけるため、問題となります。長期間にわたって続くと、顎関節や周囲の筋肉に炎症や痛みを引き起こします。

2. ストレス

ストレスは、顎関節症の発症に深く関与しています。ストレスが増すと、無意識に歯を食いしばることが多くなり、これ関節に大きな負担をかける原因となります。また、ストレスは頻繁または持続的な筋肉の緊張を引き起こし、あご周辺の筋肉にも影響を与えるため、痛みやこわばりが生じます。

3. 噛み合わせの問題

不正咬合や歯並びの問題も、顎関節症の原因となります。噛み合わせが悪いと、あごの関節に不均等な力がかかり、関節や筋肉に負担がかかります。これにより、顎関節が正常に機能しなくなり、痛みや異常な音が生じることがあります。

4. うつぶせ寝、猫背などの癖

うつぶせ寝や猫背などのような癖や姿勢に関する習慣も顎に負担がかかり、顎関節症の発症につながる可能性があります。

横向きに寝ることが習慣になっている場合も一方の顎に力がかかり続ける時間が長くなるため、顎がずれてしまって顎関節症を引き起こすリスクがあります。

5. 外傷やけが

顎に直接的な外傷やけがを負った場合も、顎関節症の原因となります。例えば、事故やスポーツで顔面に衝撃を受けた場合、顎関節が損傷し、その後の回復過程であごの関節に異常が残ることがあります。このような外傷による顎関節症は、早期の治療が大切です。

6. 関節や筋肉の異常

顎関節や周囲の筋肉に生じる異常も、顎関節症の原因となります。関節内の軟骨の摩耗や炎症、筋肉の過緊張や痙攣などが考えられます。これらの異常は、関節の動きを妨げ、痛みや違和感を引き起こします。

7. 被せ物、詰め物、入れ歯などが合っていない

過去の歯科治療が原因で顎関節症を引き起こすこともあります。例えば、クラウンやブリッジ、義歯などが適切な形状でない場合、噛み合わせが悪くなり、顎関節に負担をかけることがあります。また、過去の歯科手術や抜歯が原因で関節に問題が生じることもあります。

8. 遺伝的要因

遺伝的な要因も顎関節症の発症に関与することがあります。家族に顎関節症を患っている人がいる場合、そのリスクが高まることがあります。遺伝的要因は、顎の形状や関節の構造に影響を与えることがあり、これが発症に繋がる可能性があります。

このように原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。症状が現れた場合は、これらの原因を考慮しながら、適切な診断と治療を受けることが重要です。

顎関節症の診断方法

定期健診

診断は、歯科医師や口腔外科医によって行われます。診断方法には以下のようなものがあります:

  • 問診・・症状や生活習慣について詳しくお聞きします。
  • 視診・触診・・あごの動きや痛みの部位を確認します。
  • X線検査・・関節の状態を確認します。
  • CTスキャン・・詳細な画像診断が必要な場合に使用します。

適切な診断を受けることで、効果的な治療計画を立てることができます。

顎関節症の対処法

治療は、症状の原因や重症度に応じて異なります。主な対処法には以下が含まれます。

  • セルフケア・・軽度の場合、アイスパックや温湿布を使用することで痛みを緩和できます。また、柔らかい食べ物を摂取し、あごの負担を減らすことも有効です。
  • 薬物療法・・痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や抗炎症薬が処方されることがあります。
  • 理学療法・・お口の周りの筋肉をほぐすためのマッサージやストレッチが推奨されることがあります。
  • スプリント療法・・夜間にマウスピースを使用して咬む力をすべての歯で均等に負担し、偏った力が強くかかるのを防ぎます。これにより徐々にあごの関節が安定していき、同時に下あごの位置も安定します。

顎関節症のセルフケア方法と治療法の比較

セルフケア

症状の緩和にはセルフケアも有効です。

方法 説明 効果
温湿布 温かいタオルをあごに当てる 血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する
ストレッチ 軽いあごのストレッチ 筋肉の柔軟性を向上させる。出来るだけ医師の指導の下に行う
薬物療法 鎮痛剤や抗炎症薬の使用 痛みと炎症の軽減
スプリント療法 マウスピースの装着 あご関節の負担を軽減し、正しい位置に保つ
理学療法 マッサージや超音波治療 筋肉の緊張を解消し、関節の動きを改善。専門家によって施術してもらう

顎関節症の予防方法

予防のためには、日常生活で顎関節症になりやすい習慣を注意して管理していくことが大切です。

  • ストレス管理・・リラクゼーション法や趣味などを通じてストレスを軽減しましょう。
  • 正しい姿勢・・姿勢が悪いとあごの関節に負担がかかるため、正しい姿勢を保つことが大切です。長時間のスマホの使用は猫背につながります。
  • 適切な咀嚼習慣・・硬い食べ物を避け、左右の歯で均等に咀嚼するようにしましょう。
  • 歯ぎしり対策・・マウスピースを使用するなど、歯ぎしりから歯やあごの関節を守る対策を行いましょう。

顎関節症は、適切な対処と予防により症状を軽減することができます。もしあごに異常を感じた場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。

まとめ

顎関節症は、適切な対処法や予防法を知ることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。症状が現れた場合、早期の診断と治療が重要です。セルフケアや薬物療法、理学療法など、様々な方法で症状を緩和することができます。また、ストレス管理や正しい姿勢、適切な咀嚼習慣にも努めましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック