歯周病

歯周病は何歳から気を付けるべき?

歯周病は何歳から気を付けるべき?

歯周病は、単に年齢が高い人だけの病気ではなく、若年層でも発症するリスクがあります。歯周病の基本情報、何歳から発生するのか、そしてその予防法についてご説明します。

歯周病は何歳から発症する?

歯周病が発生する年齢には明確な範囲を定めることが難しく、子供から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。発症リスクと重症度は年齢が上がるにつれて増加し、特に30歳を過ぎると発症率が高まる傾向にあります。

統計データに基づく考察

厚生労働省の歯周病調査による報告

若年層では、発症が少ないと考えられがちですが、実際には歯茎の痛みや出血のような自覚症状を持つ人が一定数存在します。厚生労働省の調査によると、65歳未満の成人で約15%が何らかの自覚症状を持っていると報告されています。

また、歯周ポケット(4mm以上)の有病率は時間の経過とともに変動しており、近年では若い世代でも罹患するリスクが高まっていることが指摘されています。

[e-ヘルスネットによる歯周病情報]

これらの情報は、予防や早期発見、治療の重要性を示しており、若年層でも適切な口腔ケアを心がけることが推奨されています。定期的な歯科検診や日々の歯磨きが、健康な口腔状態を維持するために不可欠です。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の歯周病に関する報告

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、30歳以上の成人の約47.2%が何らかの形の歯周炎を持っているとされています。年齢が上がるにつれてこの割合は増加し、65歳以上では約70.1%の高齢者が歯周病を抱えています。また、教育レベルや収入レベルが低いほど、発症率が高くなる傾向にあります。

この報告に基づく詳細な統計データや、年齢別の歯周病の発症状況に関するさらに詳しい情報は、CDCの公式ウェブサイトに掲載されています。詳細は以下のリンクからご覧いただけます:

[CDCの歯周病に関する報告]

若年層の歯周病の症状やリスク

一般的に若い人の歯周病のリスクは低いとされていますが、若い人の間に歯周病予備軍が増えています。歯周病は、歯を支える組織が細菌に感染することによって起こる病気で、歯磨きが不十分、喫煙、食生活の偏り、遺伝的要因などがリスクを高めることがあります。

ストレスや一部の全身疾患(例えば糖尿病)もリスクを高める可能性があります。

子供~思春期

子供や思春期においても発症しますが、この段階で見られるのは主に歯肉炎で、歯肉の腫れや出血などが主な症状です。

子供や思春期の間に見られる歯周病は、主に歯磨きが十分に出来ていないことが原因です。歯磨きやデンタルフロスの使用が不足していると、歯に歯垢がたまりやすくなり、リスクが高まります。

適切な歯みがきの習慣を身につけることで、リスクを減らすことが出来ます。

20代~30代前半

この年代では、生活習慣の変化、ストレス、喫煙、栄養の偏りなどが原因で歯周病が発症することがあります。また、妊娠中の女性はホルモンの変化により発症しやすくなることが知られています。

若年層の歯周病の症状

  • 若年層での初期症状には、歯茎の赤み、腫れ、出血などがあります。これらの症状が見られた場合は、早めに歯科の定期健診でクリーニングを受けて、歯垢や歯石を除去してお口の中から細菌を減らし、清潔な状態にすることが必要です。
  • 歯周病が進行すると、歯が揺れる、歯茎が後退する、悪臭がするなどの症状が出ることがあります。

若年層のための歯周病の予防

特に若年層では、歯周病を早期発見して適切な処置をすることで症状が改善し、軽い歯肉炎程度なら完治させることが出来ます。

発症には毎日の歯磨きなどの衛生習慣が大きく影響します。予防のためには、年齢に関わらず以下の予防策を心がけましょう。

1. 定期的な歯磨き

1日2回、朝と夜にフッ素配合の歯磨き粉を使用して歯を磨くことが基本です。歯ブラシは柔らかめのものを選び、歯と歯茎の境目を丁寧に磨きましょう。

正しい歯磨きの方法

・歯ブラシの角度

歯ブラシは歯と歯茎の境界に対して45度の角度で当て、小さな円を描くように優しく磨きます。

・磨く時間

全ての歯を磨くために、少なくとも2分間はかけるようにしましょう。

・歯ブラシの交換

歯ブラシはお口の中の細菌がついてブラシ上で繁殖する恐れがあります。出来るだけ1ヶ月ごと、または毛先が広がったら新しいものに交換しましょう。

・歯周病の方はやわらかめの歯ブラシを使いましょう

歯茎が腫れている場合は、やわらかめの毛先の歯ブラシを使用して、力を抜いてやさしくブラッシングします。強く磨くと歯茎の炎症が酷くなったり、歯茎の退縮を起こすことがあります。

2. フロスの使用

歯間ブラシやデンタルフロスで、歯ブラシでは届かない歯と歯の間や、歯と歯茎の境目部分のプラークを除去します。フロスの後で歯磨きを行うと効果的です。

歯と歯の間に隙間があると食べ物のカスが挟まりやすいため、特に丁寧に行いましょう。

3. 定期的な歯科健診

年に2~4回程度の歯科健診を受け、プロのクリーニングを利用しましょう。歯磨きでの磨き残しや歯周ポケット内の歯垢を除去し、セルフケアでは落とせない歯石もきれいに削り取ってもらえます。歯垢と歯石は歯周病の主な原因となりますので、必ず受けるようにしましょう。

初期の段階では、クリーニングやスケーリングで改善することが多いですが、進行した場合はより専門的な治療が必要になることがあります。

4. 健康的な食生活

砂糖の摂取を控え、ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取することが口腔健康につながります。

5. 禁煙

喫煙は歯周病のリスクを高めます。喫煙をしている場合は、禁煙を検討しましょう。

6. ストレス管理

ストレスは免疫力を低下させ、歯周病のリスクを高めることがあります。適度な運動や趣味の時間を持つなどして、ストレスをためないようにしましょう。

上記の予防方法は年齢に関わらず、毎日の生活に取り入れることで、リスクを大幅に減らすことができます。

歯垢の蓄積を防ぐことが、予防で一番大切なことです。正しい方法で歯磨きを行い、定期的な歯科健診により、歯垢の除去と早期発見・早期治療が可能となります。

歯周病とは何か?

歯周病は、細菌への感染によって歯を支える組織に炎症が生じ、最終的には歯が抜けてしまう可能性がある病気です。初期の段階では歯垢が歯と歯茎の間の歯周ポケットに蓄積し、細菌によって炎症を引き起こすことで歯肉炎を発症します。これが放置されると歯周炎へと進行します。歯周炎は、歯を支える骨を溶かし、最悪の場合、歯が抜け落ちることに繋がります。

歯周病の主な原因

歯垢の蓄積

毎日の歯磨きで除去しきれない歯垢の中にいる細菌が原因で進行します。

喫煙

喫煙はリスクを高めます。タバコの成分が歯茎の血流を悪化させ、細菌感染への抵抗力を下げるためです。

強すぎる歯磨き

強く磨きすぎると歯茎を傷つける原因になり、それが歯周病を引き起こすことがあります。

遺伝

家族に歯周病の人がいる場合、遺伝的要因によりリスクが高まる可能性があります。

ストレス

ストレスは身体の抵抗力を低下させ、歯周病菌の影響を受けやすくなります。

糖尿病

糖尿病患者は歯周病になりやすいとされています。血糖値のコントロールがリスクを低減させます。

歯科医院での歯周病治療

歯周病の診断を受けた場合、速やかに適切な治療を行う必要があります。治療方法は、進行度によって異なりますが、早期発見・早期治療がポイントとなります。

定期的な歯科健診の重要性

早期発見と早期治療

歯周病は初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な歯科健診で早期に発見すると、すぐに治療を開始することができます。

プロによる専門的なクリーニング

当院では歯科衛生士がエアフローと呼ばれるプラークコントロールのための専門の器械を使ってクリーニングを行います。セルフケアでは取り除けない場所の歯垢や、出来てしまった歯石を除去し、お口の中から細菌を減らします。歯のクリーニングは予防に効果的です。

治療方法の種類とその効果

スケーリングとルートプレーニング

歯と歯茎の間の歯周ポケットに溜まった歯垢や歯石を取り除く基本的な治療です。歯垢や歯石を除去することによって、歯茎の炎症が減少し、歯周病を完治させたり、進行を遅らせることができます。

外科的手術

歯周病が進行し、骨の損失が見られる場合には、外科的手術が必要となることがあります。歯肉を切り開いて歯根についた歯垢や歯石を除去するフラップ手術や、骨再生手術などがあり、歯を支える組織の再生を促します。

歯周病の治療は、患者さんの協力が不可欠です。治療期間中だけでなく、治療後も毎日のお口のケアを徹底し、定期健診を受けることが重要です。

まとめ

歯周病は若い年代からでも注意が必要な病気であり、正しい方法で口腔ケアを行うことと定期的に歯科健診を受けることが大切です。丁寧に歯磨きを行い、デンタルフロスや歯間ブラシを用いて出来るだけ歯垢を落とすことで、歯垢がたまるのを防ぎ、リスクを減少させることができます。

また、食生活の見直しやストレス管理も予防に効果があります。年齢を問わず、これらの習慣を身につけ、健康な口内環境を保つことが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック