矯正歯科

矯正治療後のリテーナーをさぼったらどうなるの?

矯正治療後のリテーナーをさぼったらどうなるの?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

矯正治療が終わって装置を外したあとは、歯列の後戻りを防ぐためにリテーナーと呼ばれるものを装着します。リテーナーとはどういうものか、をつけるのをサボったらどんなことが起こるのかご説明します。

リテーナーをサボったらどうなる?

矯正治療がやっと終了してきれいな歯並びになったとしても、その後は担当医から指定された期間はリテーナーと呼ばれる保定装置をつける必要があります。リテーナーをつける目的は、きれいになった歯並びを定着させる為です。

矯正治療中は歯の位置が安定せずに動きやすい状態になっており、リテーナーを付けないと、またガタガタや出っ歯の歯並びに少しずつ戻ってしまうのです。歯並びが少しずつ元に戻ってしまうことを「後戻り」と言います。

後戻りを起こしてしまうと、また矯正治療を行わなければいけません。そうならないためにも、リテーナーは必ず指示された通りに付けるようにしましょう。

リテーナーは何のためにつけるの?

矯正前の歯並びに少しずつ戻ってしまう現象や、矯正治療後の歯並びの崩れのことを「後戻り」と呼んでいます。

矯正治療中の歯は動きやすく、常に後戻りしやすい状態になっています。これはどうしてかというと、矯正治療では歯を引っ張って動かしていくのですが、その際に歯が埋まっている骨を壊しながら、移動させます。

歯を移動させた後、一度壊れた骨は自己修復するのですが、歯列矯正の治療中はまだ骨が柔らかく、固まっていない状態になっています。そのため矯正装置を外して治療を終えた直後の歯は、元の位置に戻ろうとする力が働きやすくなっています。

特に矯正治療直後、つまり矯正装置を外してから半日~24時間程度は特に後戻りがしやすい時期だといわれていて、矯正治療直後の歯並びで作製されたリテーナーが、いざ1日後に浸けようとしたところ、リテーナーが歯から浮いてしまう、つまり歯が治療直後の位置から既に動いているということが起こる場合もあります。

治療後の歯はそれくらい後戻りしやすいので、リテーナーを装着してしっかりと保定し、きれいになった歯並びの位置で骨を固定させることが大切です。

リテーナーってどんなもの?

リテーナーは保定装置とも呼ばれ、矯正治療後の歯列をきれいなまま保つために必ずつける装置です。

固定式のリテーナー

固定式のリテーナー

フィックスタイプ

歯の裏側に細いワイヤーを接着して歯を固定することで、後戻りを防ぐリテーナーです。こちらのタイプは、自分で外すことはできません。

固定式のワイヤーが歯の裏側に付けられているので、歯磨きはしにくいです。それに加えて、接着剤が歯と歯肉の境目ギリギリに付けられているので、その部分の汚れをきれいに落とさないと虫歯や歯周病になりやすいです。

そのためデンタルミラーやワンタフトブラシを用いて歯磨きを徹底しなければなりません。

着脱出来るリテーナー

着脱できるリテーナー

着脱式のリテーナーはつけ忘れに注意が必要です。また、きれいに洗浄しないとにおいや虫歯や歯周病の原因になります。

ラップアラウンドリテーナーやスプリングリテーナーなど、ワイヤーのついているもの

リテーナーを装着すると、歯の表面をワイヤーが覆うように被さります。ワイヤーがかなり目立つものと、ワイヤーの位置が目立ちにくい部位についているものがあります。ご自分で取り外せるので食事の時は外せますし、歯磨きがしやすいメリットがあります。

エシックスリテーナー(マウスピースタイプ)

透明な素材で作られたマウスピースをリテーナーとして装着します。見た目が目立たないだけでなく、ご自分で取り外せるので食事の時は外せますし、歯磨きがしやすいメリットがあります。

リテーナーはどのくらいの期間つけるの?

期間

保定期間には個人差がありますが、全顎矯正の場合は1~3年程度つけていただくことが多いです。

しかし、リテーナーをつけていても多少の後戻りは起こってしまうため、できるだけ長い期間使った方が後戻りはすくないです。

リテーナーは1日何時間くらいつけるの?

時間

リテーナーの装着時間は矯正担当医の指示に必ず従いましょう。矯正治療が終わってすぐは、24時間つけるように指示されることが多いです。

リテーナーをつけ始めて半年~1年経過すると歯を支える骨が安定してきますので、「夜だけ」「寝るときだけ」というように徐々に装着時間を短くすることが可能になります。

24時間つける場合は、食事や間食時には外して、それ以外の時間は日中・夜間ともにリテーナーを着用します。

取り外し式のリテーナーはどうやって洗浄するの?

取り外し式のリテーナーは外した時にきれいに洗わないと細菌が繁殖して口臭の原因になりますし、歯周病になるリスクもあります。
歯磨き剤を使って洗浄すると歯磨き剤に含まれる研磨剤によって細かな傷がついてしまい、その部分に汚れや細菌がつきやすく、また取れにくくなることがあります。

そのため、リテーナーを清潔な状態を保つには専用の洗浄剤がおすすめです。

リテーナーをつけるのが面倒くさい

リテーナーをつけずにいると、歯はどんどん後戻りして、矯正治療前の歯並びに近づいていきます。そのため、リテーナーを付けたり外したりするのが面倒な方は、固定式のリテーナーが可能かどうか担当医にたずねましょう。

面倒くさがり屋の方には固定式のリテーナーの方が快適に過ごせる場合もあります。

矯正治療後のリテーナーに関するQ&A

リテーナーは何のためにつけるの?

リテーナーは、矯正治療後の歯列を保持するために使用されます。矯正治療後の歯並びは後戻りしやすいため、リテーナーを装着することで歯を元の位置に保ち、骨を固定させる役割を果たします。

リテーナーには種類はありますか?

リテーナーには主に固定式のリテーナーと着脱可能なリテーナーの2種類があります。固定式のリテーナーは歯の裏側にワイヤーを接着して固定し、後戻りを防ぎます。着脱可能なリテーナーにはワイヤーが付いたものや透明なマウスピースタイプがあります。

リテーナーの装着期間はどのくらいですか?

リテーナーの装着期間は個人によって異なりますが、全体矯正の場合は通常1年から3年程度使用されます。リテーナーを長く使用するほど後戻りのリスクが低くなります。

まとめ

歯のキャラクター

矯正治療後に歯の後戻りを防ぐために装着する装置をリテーナーといいます。リテーナーを使う期間は患者さんによって異なりますが、噛み合わせが悪かったり、親知らずがある方の場合は、後戻りが起こりやすいため、リテーナーの装着時間はきちんと守るようにしましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック