インプラント

インプラントの材料にチタンが使われる理由は?

インプラントの材料にチタンが使われる理由は?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

インプラントの材料にチタンが使われる理由は?

答えは、チタンが「体に優しく」「骨としっかり結合し」「長期的に安定した使用ができる」からです。

この記事はこんな方に向いています

  • インプラント治療を検討している方
  • なぜチタンが選ばれているのか知りたい方
  • 安全性や耐久性に不安を感じている方
  • 他の素材との違いを知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. インプラントにチタンが使われる医学的・科学的な理由
  2. チタンの特徴とメリット
  3. 他の素材と比較した場合の違い
  4. チタンインプラントの歴史と実績
  5. 患者さんが安心して治療を選べるための知識

 

なぜインプラントにはチタンが使われるの?

なぜチタンが使われるの?

インプラントの素材にはさまざまな候補がありますが、最も広く使われているのはチタンです。その理由は、チタンが人の体にとって安全であり、骨と強固に結合し、長期間にわたり安定性を保てるという特性を持っているからです。

歯の代わりに人工の根を埋め込むインプラントにとって、材料の選択は非常に重要です。チタンはその条件を満たしているため、世界中の歯科治療で第一選択とされています。

チタンは「体に優しく、骨と結合しやすく、耐久性に優れる」ため、インプラントに選ばれています。

チタンの特徴とインプラントでのメリット

チタンの特徴 インプラントでのメリット
生体適合性が高い(体にやさしい、拒否反応が少ない) アレルギーや炎症が起こりにくく、患者さんが安心して長期間使える
骨と結合する性質(オッセオインテグレーション) 顎の骨としっかり固定され、自然の歯のように噛める
軽くて強い(強度と軽さのバランスが良い) 奥歯にかかる強い力にも耐えられる
耐食性が高い(錆びにくく口腔内でも安定) 湿潤な口の中でも長期間劣化せず使用可能
長期的に安定する耐久性 10年以上の使用実績があり、「第二の永久歯」として信頼できる
医療分野で広く使用されている実績 人工関節やペースメーカーでも使われるほど安全性が高い

チタンが体に優しいと言われるのはなぜ?

チタンが体に優しいと言われるのはなぜ?

チタンは「生体適合性」が非常に高い金属として知られています。これは、体に入れても拒否反応やアレルギーがほとんど起こらないことを意味します。

ステンレスや他の金属では、金属イオンの溶け出しによる炎症や拒絶反応が起こる可能性がありますが、チタンは酸化被膜により体液と反応しにくいため、安全に長期間使用できます。

この性質により、インプラントだけでなく人工関節や心臓のペースメーカーにも利用されているのです。

チタンは拒否反応が少なく、医療に広く使われるほど体に優しい金属です。

  • 生体適合性が高い → アレルギーや炎症が少ない
  • 酸化被膜で金属イオンの溶け出しを防ぐ
  • 医療用金属として歴史的に使用実績が豊富

体に異物を入れるインプラント治療では、安全性が第一です。チタンは生体に受け入れられやすいため、安心して治療に使えるのです。

チタンは骨と結合できるって本当?

インプラントが骨にしっかり固定される仕組みを「オッセオインテグレーション」と呼びます。チタンは骨と直接結合する性質を持つため、顎の骨に埋め込むと強固に固定されます。

従来の入れ歯やブリッジとは異なり、チタンインプラントは自然の歯のように安定するのが特徴です。この骨との結合力が、インプラントの長期的な成功率を高めています。

チタンは骨と直接結合する特性を持つため、インプラントが安定します。

  • オッセオインテグレーション:骨と金属が直接結合する現象
  • 自然の歯に近い安定感を得られる
  • 長期的に外れにくく、しっかり噛める

この性質こそが、インプラントを「第二の永久歯」と呼ばれるまでに進化させた理由です。

強度や耐久性の面でチタンは優れているの?

チタンは軽くて強い金属として知られています。鉄やステンレスに比べても耐食性が高く、口の中の湿潤環境でも錆びにくいのが特徴です。

また、強度と柔軟性のバランスが良く、噛む力を適度に吸収しながら長期にわたり使用できます。インプラント治療は一度行うと10年以上使うことが期待されるため、この耐久性は大きな利点です。

チタンは軽くて強く、口の中でも長持ちする素材です。

  • 軽量かつ強靭
  • 腐食や錆に強い
  • 長期間使用しても変質しにくい

毎日の食事や会話に耐えられるだけの強度と安定性を兼ね備えているのが、チタンインプラントの魅力です。

他の素材ではダメなの?ジルコニアとの違いは?

インプラントの素材には、チタン以外に「ジルコニア」というセラミックが使われる場合もあります。ジルコニアは白く、審美性に優れているため前歯の治療で選ばれることもあります。

しかし、骨との結合力や長期的な実績はチタンの方が勝っています。特に奥歯のように強い力がかかる部分では、チタンの耐久性が安心です。

ジルコニアもあるが、総合力ではチタンが優れています。

  • ジルコニア:見た目が自然で金属アレルギーの心配が少ない
  • チタン:長期的な信頼性・耐久性に優れる
  • 適材適所で使い分けが必要

見た目を重視するならジルコニアも有力ですが、安定性と実績を求めるならチタンが第一選択となります。

チタンとジルコニアの比較表

項目 チタン ジルコニア
生体適合性 非常に高く、金属アレルギーが起こりにくい 金属を含まないため、さらにアレルギーリスクが少ない
骨との結合性 優れており、オッセオインテグレーションが確立 良好だが、チタンほどの実績やデータは少ない
強度・耐久性 軽くて強く、奥歯の強い力にも耐えられる 高強度だが、割れるリスクがゼロではない
耐食性 酸化被膜により錆びにくく、口腔内でも安定 セラミックなので腐食の心配はまったくない
見た目(審美性) 灰色の金属色。歯ぐきが薄いと透ける場合あり 白く自然な色で、前歯の治療に有利
加工性 加工が難しいが、長年の歯科技術で確立 加工が難しく、取り扱える歯科医院が限られる場合も
歴史・実績 1960年代から使用。成功率90%以上の豊富な実績 比較的新しい素材で、長期的なデータは少なめ
  • チタン → 総合力が高く、奥歯や長期安定を重視する方におすすめ。
  • ジルコニア → 見た目や金属アレルギーへの配慮を重視する方に適している。

チタンインプラントは歴史的に信頼できるの?

チタンインプラントの研究は1950年代から始まり、1960年代には実際に歯科治療で使われ始めました。以来、数十年にわたり世界中で臨床データが積み重ねられ、その成功率は90%以上と報告されています。

長期的に安定しているという豊富な実績は、患者さんにとって大きな安心材料です。

チタンインプラントは長い歴史と高い成功率を持つ信頼できる治療です。

  • 1950年代に研究開始
  • 1960年代から臨床応用
  • 成功率は90%以上と報告

実績があるからこそ、多くの歯科医院で標準治療としてチタンインプラントが採用されています。

まとめ

チタンがインプラントに選ばれる理由は総合力にあり

インプラントにチタンが使われる理由は、単に「強い」からではなく、「体に優しく、骨と結合し、長期的に使える」という総合力にあります。

他の素材では一部の要素を満たすことはできても、すべてをバランスよく兼ね備えたものはチタンだけです。だからこそ、世界中で標準的に使われているのです。

チタンは生体適合性・結合力・耐久性を兼ね備えた万能素材だから選ばれています。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

▶プロフィールを見る

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック