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治療を途中でやめるとリスクがありますか

治療を途中でやめるとリスクがありますか

様々な理由で治療の途中でやめてしまわれる患者さんがおられます。治療を中断するのは、忙しかったり、元々歯医者嫌いだったり、治療内容に疑問を持っていたり、治療費が心配だったりと、様々な理由によるものと思われますが、治療を途中でやめてしまうことにはリスクがありますので、ご説明します。

どんな場合に治療を中断しがちなのか

1. 痛みや腫れがなくなった

虫歯の痛みや歯茎の腫れの治療で来院された場合、炎症を止める処置によって症状が止まったために、治療を途中でやめてしまう方がおられます。治療途中の場合、表面的な痛みや腫れが消えたからといって、炎症を起こしている原因がなくなったわけではありません。

痛みや腫れがひどい場合は、まず痛みや腫れをとる応急処置を行います。痛みや腫れがある状態を急性症状といいますが、この状態では麻酔が効きにくいこともあり、初回は痛みや腫れを軽減するための処置が行われますので、それで治療が終わったわけではありません。

2. 忙しくて時間が作れない

重度の虫歯の場合には、1回あたりの治療時間や回数がかかります。特に、神経の治療(根管治療)の場合には、治療した箇所が見えないため、患者さんはなかなか治療が進まない、または同じ処置を繰り返しているように思われるかもしれませんが、実際には大変繊細で難しい処置をしております。

患者さんがお忙しいのは理解できますが、大切な歯を守るための治療ですので、しっかりと治療を受けていただき、健康な歯を長く保っていただきたいと思います。

3. 治療が一段落した

例えば、前歯の被せ物の場合に、仮歯で過ごしていただく期間があります。1~2週間程度で本番の被せ物をつけますが、仮歯でも色や形に問題がないという理由で、治療に来られなくなる場合があります。稀に仮歯であることに気づかず、もう治療が終わったと思い込んでしまわれる方もおられます。

仮歯はあくまでも仮の歯でプラスチックの歯ですので、耐久性に問題があり、外れたり変色が起こることもあります。

また、根幹治療で神経を取る場合、根幹内を完全に洗浄するために複数回にわたっての来院が必要です。もう痛くないからと、根幹治療を途中でやめてしまわれると、歯の根が再び感染を起こすリスクがあり、抜歯に繋がってしまうこともあります。

虫歯や歯周病による抜歯後にも、抜歯した部分をそのままにせずにブリッジなどで歯の機能を補う必要があります。

殆どの場合、治療後の受付で次回の予約をお取りしますが、先の予定が明らかでないなどの理由で予約をお取りになれない場合は、後日必ず予約のご連絡をくださるようお願いします。

4. 予約をキャンセルしてしまった

歯医者の予約のキャンセルをきっかけに、歯科に連絡するのが億劫になって治療を途中でやめてしまう場合もあります。特に連絡なしでキャンセルしてしまった場合などは、患者さんにとって、来院しにくい状況になることがあるようです。

患者さんたちもお忙しいことと思いますので、予約の日に急用が出来てキャンセルしなければならないことも起こりえます。また、予約の日時をすっかり忘れていたというケースもあります。

当日のキャンセルの場合は、歯科医院にご連絡をいただけると助かりますが、どうしても連絡出来なかったり、歯科医院の電話が話中でつながらなかったということもあるかもしれません。その場合は、出来れば当日、それが無理な場合は、翌日など、早めに再予約をお取りいただければと思います。

治療を中断した場合の様々なリスク

治療を途中でやめてしまった場合に起こりえる様々なリスクについてご説明します。

リスク1 症状の悪化

症状の悪化には以下のような様々なパターンがあります。

  1. 虫歯が進行してしまう
  2. その後の治療が複雑になる
  3. 感染が拡大する場合がある
  4. 痛みや腫れなどの増大
  5. 見た目の問題が起こる

1. 虫歯が進行してしまう

歯科治療を途中で中断することで症状が悪化するリスクは非常に高く、放置すると長期的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。以下に、そのリスクについて具体的に説明します。

虫歯の治療を中断すると、虫歯が進行し続けることになります。虫歯は歯のエナメル質を破壊し、やがてエナメル質の内側の象牙質に達します。象牙質はやわらかいため虫歯の進行が早く、治療を放置すればするほど、虫歯はさらに深く広がり、最終的には歯髄(神経がある部分)に感染する可能性があります。これが原因で歯髄炎や根尖性歯周炎など、より深刻な状態に陥ることがあります。

2. その後の治療が複雑になる

初期の虫歯は比較的単純な処置で治療可能ですが、進行すると状況は複雑になります。深い虫歯はレジンでの充填では対応できず、根管治療や被せ物の装着が必要になることがあります。さらに進行した場合、歯を保存することが困難になり、抜歯が避けられない状況に至ることもあります。

3. 感染が拡大する場合がある

歯の感染が広がると、周囲の他の歯や歯茎、あごの骨にも影響を及ぼすことがあります。これにより、歯周病のリスクが高まり、健康な歯や組織が損傷する可能性があります。さらに、歯周病が重症になると、全身状態にも影響を及ぼすことがあります。

4. 痛みや腫れなどの増大

治療を中断すると、時とともに痛みや腫れが増大することが一般的です。痛みが強まると、日常生活における食事や会話などが困難になり、生活の質が大きく低下する可能性があります。

5. 見た目の問題が起こる

進行した虫歯や歯の感染は見た目にも影響を与えます。前歯が欠けたり、色が変わったりすることで、笑顔が不自然になり、自信を失う原因となり得ます。

以上のように、歯科治療を中断することは多くのリスクを伴います。治療の初期段階で適切に対処することで、これらのリスクを大幅に減少させることが可能です。

リスク2 最終的に治療費が増える

治療を中断することは、結果的に治療費の増加につながることもあります。症状が進行すると、より複雑で高額な治療が必要となり、初期の治療と比べると費用が数倍に跳ね上がることがあります。このため、短期的な節約が長期的な経済的負担を招く原因となり得ます。

リスク3 治療期間の延長

途中で治療を放棄した場合、その後しばらくしてから治療を再開したとしても、治療期間が大幅に延長することがあります。進行した症状を抑えるためには、より多くの治療回数と時間が必要となり、結果的に患者さんの負担が増えることになります。

リスク4 心理的な影響

治療を途中でやめることは、患者さんの心理的な健康にも影響を与えます。未完了の治療は、不安やストレスの原因となり得ますし、治療の必要性を感じながらも対応できていないことで、罪悪感や自己嫌悪を感じることもあります。

治療を中断しないためには?

治療を継続するためには、初診時に医師としっかりとコミュニケーションをとり、治療計画について理解を深めることが重要です。また、治療費や治療内容に関する不安があれば、治療に入る前に医師に相談し、治療計画についてもう一度検討しましょう。

治療を中断した後、再開する場合

治療中断後の治療再開の場合は、最初の治療計画を参考にしつつ、再度治療計画をたてることが必要になることが多いです。レントゲン撮影などの検査が再度必要になる場合もありますが、再治療をより安全に行うためですので、ご理解いただきたく思います。

また、不安に思われている点がおありの場合はご遠慮なく担当医やTC(トリートメントコーディネーター)にお話しください。症状と緊急性によって優先順位をつけなければならない場合もありますが、出来る限り柔軟に治療計画の調整などを行ってまいります。

治療を途中でやめた場合のリスクに関するQ&A

どのような理由で治療を途中でやめる患者さんが多いのですか?

治療を途中でやめる患者さんの理由には、痛みや腫れがなくなった、忙しくて時間が作れない、治療が一段落したと思った、予約をキャンセルしてしまったなどがあります。これらの理由から治療を中断すると、炎症が再発したり、治療が不完全な状態で放置されるリスクが高まります。

治療を中断することでどのようなリスクがあるのですか?

治療を中断することで、症状の悪化、治療が複雑になる、感染が拡大する、痛みや腫れが増大する、見た目の問題が生じるなどのリスクがあります。また、治療費の増加や治療期間の延長、心理的な影響も生じる可能性があります。これらのリスクを避けるためには、治療を継続することが重要です。

治療を中断しないためにはどうすれば良いですか?

治療を中断しないためには、初診時に医師としっかりとコミュニケーションをとり、治療計画について理解を深めることが重要です。また、治療費や治療内容に関する不安があれば、治療に入る前に医師に相談し、治療計画について再度検討することが推奨されます。定期的な予約を確保し、計画的に治療を進めることが大切です。

まとめ

歯科治療を途中でやめることは、様々なリスクを伴います。治療を中断したために症状が悪化してしまうと、その後の治療が複雑になって治療費やかかる時間が増える可能性があります。

治療を途中でやめないためには、初診時に治療計画をしっかり理解し、不安や疑問がある場合は積極的に医師に相談することが大切です。健康な口腔環境を維持するためには、治療を途中でやめることなく、計画に沿って進めていくことが何よりも重要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック