唾液にはどんな働きがあるの?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

唾液にはどんな働きがあるの?

唾液には、お口の中を潤すだけでなく、食べかすや細菌を洗い流し、酸を中和して歯を守る働きがあります。さらに、食べ物を飲み込みやすくする、味を感じやすくする、粘膜を刺激から守るといった役割も担っています。

唾液が減ると、虫歯や歯周病、口臭、口内炎、飲み込みにくさなどが起こりやすくなります。口が乾く状態が長く続いている場合は、単なる水分不足だけでなく、服用薬や口呼吸、唾液腺の病気などが関係している可能性もあります。

唾液は、普段あまり意識することのない存在です。しかし、歯とお口の健康を守るうえでは、歯磨きと同じくらい見逃せない働きをしています。

この記事を読むとわかること

  1. 唾液が歯やお口を守る仕組み
  2. 唾液が虫歯予防に関係する理由
  3. 唾液が作られる場所と1日の分泌量
  4. 唾液が減ると起こりやすい症状
  5. 口が乾燥する主な原因
  6. 唾液を増やすために自宅でできること
  7. 歯科医院を受診した方がよい症状

唾液が少ない状態は、「口が乾く」という不快感だけの問題ではありません。歯や粘膜を守る力が弱まり、虫歯や口臭など複数のトラブルにつながることがあります。

 

目次

唾液とはどのようなもの?

唾液とはどのようなもの?の図解

唾液は、耳の下や顎の下、舌の下などにある唾液腺で作られる液体です。その大部分は水分ですが、歯を構成するカルシウムやリン、食べ物の消化を助ける酵素、粘膜を保護する成分、細菌の増殖を抑える働きに関係する成分なども含まれています。

唾液は、歯・粘膜・食事・会話を支える多機能な液体です。

唾液というと、口の中を濡らすための水分という印象があるかもしれません。しかし、唾液は単なる水ではありません。

唾液には、水分のほかに次のような成分が含まれています。

  1. カルシウムやリン
    → 歯から失われたミネラルを補い、再石灰化を助ける成分です。
  2. アミラーゼ
    → 食べ物に含まれるデンプンの分解を、お口の中から始める消化酵素です。
  3. ムチンなどの成分
    → お口の粘膜を覆って潤いを保ち、食べ物や歯による刺激から守ります。
  4. 抗菌作用に関係する成分
    → リゾチームやラクトフェリンなどが、細菌の付着や増殖を抑える働きに関係しています。

これらの成分が組み合わさることで、唾液は歯や粘膜を守り、食事や会話を助けています。唾液の約99.5%は水分で、残りにはカルシウム、リン酸、ムチン、抗菌・免疫に関係する物質などが含まれています。

なお、唾液には抗菌作用に関係する成分が含まれていますが、唾液そのものが消毒薬になるわけではありません。傷口を舐めることが推奨されるわけでもなく、唾液だけですべての細菌やウイルスを防げるわけではありません。

唾液にはどのような働きがあるの?

唾液には、お口の中を洗い流す自浄作用、歯が溶けやすい酸性の状態を元に戻す緩衝作用、溶けかけた歯の修復を助ける再石灰化作用などがあります。さらに、粘膜の保護、食事、味覚、会話にも欠かせません。

唾液は、歯を守り、食べる・飲み込む・話す動作を支えます。

唾液の働きは一つではありません。歯科の視点では、虫歯を防ぐ働きが特に重要ですが、日常生活全体にも広く関係しています。

唾液の代表的な働きを、次の表にまとめました。
それぞれの作用は単独で働くのではなく、互いに補い合いながらお口の健康を維持しています。

唾液の働き 主な内容
自浄作用 食べかすや細菌を洗い流し、お口の中に汚れが停滞するのを防ぎます
緩衝作用 飲食後に酸性へ傾いたお口の中を、中性に近い状態へ戻します
再石灰化作用 カルシウムやリンによって、酸で溶けかかった歯の修復を助けます
粘膜保護作用 頬、舌、歯茎などの粘膜を覆い、乾燥や摩擦から守ります
潤滑作用 食べ物をまとめ、噛む・飲み込む・話す動きを滑らかにします
抗菌作用 細菌の付着や増殖を抑え、お口の環境を保つ働きに関係します
消化作用 アミラーゼが、食べ物に含まれるデンプンの分解を始めます
味覚を助ける作用 食べ物の味の成分を溶かし、舌の味蕾へ届けます

唾液が十分に分泌されていると、歯や粘膜が守られるだけでなく、食事や会話も行いやすくなります。

反対に唾液が減ると、表にある複数の働きが同時に弱くなるため、虫歯、口臭、粘膜の痛みなど、さまざまな症状が現れやすくなります。唾液には粘膜の保護や潤滑、自浄などの働きがあり、一般的な成人では1日1リットル以上分泌されるとされています。

唾液はどのように虫歯を防いでいる?

唾液は、食べかすや細菌を洗い流すだけでなく、飲食によって酸性になったお口の中を中和します。さらに、酸によって歯から溶け出したカルシウムやリンを補い、初期段階の歯の修復を助けます。

唾液は「洗う・中和する・修復する」という3段階で歯を守ります。

虫歯予防における唾液の役割は、単に食べかすを流すことだけではありません。

唾液は、次の3つの段階で歯を守っています。

1. 食べかすや細菌を洗い流す

食事をしたあと、お口の中には食べかすや糖分が残ります。唾液には、それらを洗い流し、一か所に停滞しにくくする自浄作用があります。

ただし、唾液があれば歯磨きが不要になるわけではありません。

歯の表面に付着した歯垢は粘着性が強く、唾液だけでは十分に取り除けません。歯垢は、歯ブラシや糸ようじなどを使って物理的に除去する必要があります。

2. 酸性に傾いたお口の中を中和する

飲食をすると、歯垢の中にいる細菌が糖を利用して酸を作ります。その結果、お口の中が酸性へ傾き、歯の表面からカルシウムやリンなどが溶け出します。この状態を「脱灰」といいます。

唾液には酸を中和する緩衝作用があり、時間の経過とともにお口の中を中性に近い状態へ戻します。

ただし、間食や甘い飲み物を何度も口にしていると、唾液がお口の中を元の状態へ戻す前に、再び酸性になります。酸性の時間が長くなるほど、虫歯のリスクは高くなります。

日本歯科医師会も、飲食後に低下したお口のpHは、唾液の緩衝作用によって徐々に元へ戻ると説明しています。また、睡眠中は唾液が減るため、就寝前の飲食には注意が必要です。

3. 溶けかかった歯の修復を助ける

酸によって歯からミネラルが溶け出しても、ごく初期の段階であれば、唾液中のカルシウムやリンが再び歯へ取り込まれます。この働きを「再石灰化」といいます。

再石灰化によって、歯の表面が修復される可能性があります。

ただし、すでに歯に穴が開いている虫歯が、唾液だけで元に戻るわけではありません。再石灰化が期待できるのは、歯の表面が白く濁るなどのごく初期の段階です。

唾液量が少ない人は、酸を洗い流す力や再石灰化を助ける力が弱くなるため、虫歯ができやすく、進行も速くなる傾向があります。

つまり、虫歯予防では歯磨きだけでなく、唾液が働ける時間を確保することも大切です。だらだら食べを控え、食事と食事の間を空けることには、唾液による修復時間を作るという意味もあります。

唾液は食事や味覚をどのように助ける?

唾液は、噛み砕いた食べ物に水分を与えてまとめ、飲み込みやすい状態にします。また、味の成分を溶かして舌へ届けるほか、消化酵素のアミラーゼによってデンプンの分解を始めます。

唾液があるから、食べ物を味わい、安全に飲み込めます。

1. 食べ物をまとめて飲み込みやすくする

噛み砕かれた食べ物は、唾液と混ざることで一つのまとまりになります。その結果、舌で喉の方向へ送りやすくなり、飲み込みも滑らかになります。

唾液が少ない方では、パンやクラッカー、焼き魚などの水分が少ない食べ物が口の中に残りやすくなります。水やお茶がないと食事を飲み込めないという場合は、口の乾燥が進んでいる可能性があります。

2. 食べ物の味を感じやすくする

食べ物の味の成分は、唾液に溶けた状態で舌の味蕾へ届きます。

口が乾燥すると、次のような変化を感じることがあります。

  • 食事の味が薄く感じる
  • 何を食べても同じように感じる
  • 苦味や違和感が続く
  • 食事をおいしいと感じにくい

味覚の変化には、口の乾燥以外の病気や薬などが関係することもあります。症状が続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

3. デンプンの消化を始める

唾液に含まれるアミラーゼは、ご飯やパン、麺類などに含まれるデンプンの分解をお口の中から始めます。ご飯を長く噛んでいると少し甘く感じるのは、アミラーゼによってデンプンの分解が進むことが関係しています。

ただし、唾液だけで食べ物の消化が完了するわけではありません。食べ物は食道を通って胃や腸へ送られ、さまざまな消化酵素によってさらに分解されます。

よく噛むことの大切さは、唾液による消化だけではありません。食べ物を細かくし、唾液と混ぜ、飲み込みやすい状態にすることにも大きな意味があります。

唾液は会話や粘膜の健康にも関係する?

唾液は、舌、頬、唇などの粘膜を覆い、乾燥や歯との摩擦から守ります。潤いが保たれることで舌や唇を動かしやすくなり、会話や食事もスムーズに行えます。

唾液は、お口の粘膜を守る天然の潤滑剤です。

会話をするときは、舌や唇、頬を細かく動かします。唾液が十分にあると、粘膜同士の摩擦が減り、言葉を発しやすくなります。

唾液が少ないと、次のような問題が起こることがあります。

  1. 舌が上顎に張り付く
  2. 長く話すと口が疲れる
  3. 発音しにくい
  4. 舌や頬の内側がヒリヒリする
  5. 口角が切れやすくなる
  6. 入れ歯が擦れて痛む

入れ歯を使用している方では、唾液が粘膜と入れ歯の間を潤す役割も果たしています。口が乾燥すると、入れ歯が擦れたり外れやすくなったりすることがあります。

「口が乾くだけだから」と我慢せず、会話や食事に支障が出ている場合は、歯科医院で相談しましょう。

唾液はどこで作られ、1日にどれくらい出る?

唾液は、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3種類の大きな唾液腺と、唇や頬などにある小さな唾液腺から分泌されます。一般的な成人では、1日に約1~1.5リットル作られるとされていますが、年齢や体調、服用薬などによって個人差があります。

唾液は複数の唾液腺から、1日を通して少しずつ分泌されます。

主な唾液腺は、左右に1つずつあります。

  1. 耳下腺
    → 耳の前から下にかけて位置しています。食事中などに、比較的さらさらした唾液を多く分泌します。
  2. 顎下腺
    → 下顎の内側にあります。安静時の唾液分泌で大きな役割を担っています。
  3. 舌下腺
    → 舌の下にあります。粘り気のある成分を含む唾液を分泌します。
  4. 小唾液腺
    → 唇、頬、口蓋などの粘膜に多数存在し、お口の潤いを保っています。

一般的な成人の唾液分泌量は、1日約1~1.5リットルとされています。ただし、1日分を一度に出すのではなく、安静時や食事中などに少しずつ分泌しています。

食べ物を見たり、においを嗅いだり、噛んだりすることでも分泌が促されます。一方、睡眠中は唾液の分泌が少なくなります。

朝起きたときに口がネバつく、口臭が強く感じられるのは、睡眠中に唾液が減り、細菌や汚れが停滞しやすくなることが一因です。

唾液が減るとどのような症状が起こる?

唾液が減ると、お口を洗い流す力や酸を中和する力、粘膜を保護する力が弱くなります。その結果、虫歯、歯周病、口臭、口内炎、味覚の変化、飲み込みにくさなどが起こりやすくなります。

唾液の減少は、歯だけでなく食事や会話にも影響します。

口の乾燥は、本人が気づきにくいことがあります。

「水を飲めば治るから」と考えていても、唾液による保護機能そのものが低下している場合、歯や粘膜のトラブルが進む可能性があります。

唾液が減ったときに起こりやすい症状と、その理由をまとめました。複数の症状が続いている場合は、口腔乾燥症の可能性も考えて歯科医院へ相談しましょう。

起こりやすい症状 唾液との関係
虫歯が増える 洗浄、酸の中和、再石灰化の働きが弱くなります
歯周病が悪化しやすい 細菌や歯垢が停滞しやすくなります
口臭が強くなる 食べかすや細菌が洗い流されにくくなります
口の中がネバつく 唾液量が減ったり、粘り気の強い唾液が目立ったりします
舌や粘膜が痛む 乾燥によって摩擦や刺激を受けやすくなります
口内炎・口角炎が起こる 粘膜を守る力が低下します
味を感じにくくなる 味の成分が唾液に溶けにくくなります
食べ物を飲み込みにくい 食べ物をまとめる水分や潤滑が不足します
話しにくくなる 舌や唇を滑らかに動かしにくくなります
入れ歯が擦れる 入れ歯と粘膜の間の潤滑が不足します

唾液が減った場合に特に注意したいのが、虫歯の増加です。唾液の少ない方では、歯の根元や詰め物・被せ物の周囲など、これまで虫歯にならなかった部分に虫歯ができることがあります。

乾燥を放置すると症状が徐々に増える可能性があります。口の渇きだけでなく、虫歯の増加や舌の痛みも、唾液減少のサインとして捉えることが大切です。

唾液が少なくなる原因は?

唾液が減る原因には、水分不足、口呼吸、緊張、ストレス、薬の副作用、シェーグレン病、糖尿病、唾液腺の病気、頭頸部への放射線治療などがあります。一つではなく、複数の原因が重なっている場合もあります。

口の乾燥には、生活習慣から病気までさまざまな原因があります。

1. 水分が不足している

暑い時期や運動後、発熱、下痢などによって体内の水分が不足すると、唾液も少なくなります。

コーヒーやお茶を飲んでいるから大丈夫と思っていても、飲み物の種類や量によっては十分な水分補給になっていないことがあります。

2. 口呼吸をしている

鼻づまりや睡眠中のいびきなどによって口呼吸をしていると、唾液の量が正常でも水分が蒸発し、口が乾燥します。

特に、朝起きたときに口や喉が強く乾く方は、睡眠中の口呼吸が関係している可能性があります。

3. 緊張やストレスが続いている

人前で話すときや強い緊張を感じたときに、口が乾いた経験のある方も多いでしょう。

緊張やストレスによって自律神経の働きが変化すると、唾液量が減ったり、粘り気が強くなったりすることがあります。日本口腔外科学会も、ストレスによって唾液が出にくくなる場合があると説明しています。

4. 薬の副作用がある

多くの薬に、口の乾燥が副作用として記載されています。

口の乾燥に関係することがある薬には、次のようなものがあります。

  • 花粉症やアレルギーに使用する薬
  • 高血圧の治療薬
  • うつや不安などに使用する薬
  • 睡眠に関係する薬
  • 膀胱の症状に使用する薬
  • 胃腸の症状に使用する薬

ただし、同じ種類の薬でも唾液への影響には個人差があります。

薬を飲み始めてから口が乾くようになった場合も、自己判断で服用を中止してはいけません。薬を処方した医師や歯科医師へ相談してください。

5. シェーグレン病などの病気がある

シェーグレン病は、免疫の働きによって唾液腺や涙腺などが影響を受ける病気です。

口の乾燥だけでなく、目が乾く、目に異物感があるといった症状が現れることがあります。

糖尿病などの全身疾患でも、口の乾燥を感じる場合があります。口と目の乾燥が続く場合や、体調の変化を伴う場合は、歯科医院だけでなく医科への相談が必要になることがあります。

6. 頭や首への放射線治療を受けた

頭頸部のがんに対する放射線治療では、唾液腺が治療範囲に含まれることで、唾液分泌が低下する場合があります。

治療前から歯科医院と連携し、虫歯予防や保湿ケアを行うことが重要です。

7. 唾液腺に炎症や詰まりがある

唾液腺や唾液の通り道に炎症や結石があると、唾液が出にくくなることがあります。

食事のたびに耳の下や顎の下が腫れる、押すと痛い、急に唾液が出なくなったという場合は、唾液腺の病気が考えられます。日本口腔外科学会も、急に唾液が出なくなり、痛みがある場合は診察を受けるよう案内しています。

口の乾燥の原因によって、相談する医療機関や対応方法が異なります。原因が一つとは限らないため、まずは普段の生活や服用薬、乾燥する時間帯を整理してみましょう。

考えられる原因 特徴の例 主な相談先
水分不足 運動後、発熱時、暑い時期などに強く乾く 生活習慣の見直し・必要に応じて医療機関
口呼吸 起床時の乾燥、鼻づまり、いびきがある 歯科医院・耳鼻咽喉科
薬の副作用 薬の服用開始後や種類の増加後から乾く 処方した医師・歯科医院
緊張・ストレス 緊張時に口が乾き、落ち着くと改善する 歯科医院・必要に応じて医療機関
シェーグレン病など 口と目の乾燥が続く 内科・専門医・歯科医院
唾液腺の病気 耳や顎の下の腫れ、痛み、食事時の症状 歯科口腔外科・耳鼻咽喉科
放射線治療の影響 頭頸部の治療後から強い乾燥が続く 治療担当医・歯科医院

口の乾燥が一時的で、水分補給によって改善する場合は、過度に心配する必要はありません。一方、乾燥が長期間続く場合や、虫歯の増加、痛み、唾液腺の腫れなどを伴う場合は、原因を調べる必要があります。

唾液を増やすにはどうすればいい?

唾液を増やすためには、よく噛む、こまめに水分を取る、シュガーレスガムを噛む、唾液腺をやさしく刺激するといった方法があります。ただし、病気や薬が原因の場合は、生活習慣だけでは十分に改善しないことがあります。

噛む刺激と水分補給を基本に、原因に合った対策を行いましょう。

よく噛んで食べる

噛む動作は、唾液分泌を促す代表的な刺激です。

一口ごとに回数を数える必要はありませんが、次のような工夫は取り入れやすいでしょう。

  • 食べ物をすぐに飲み込まず、形が小さくなるまで噛む
  • 急いで食べず、食事時間に余裕を持つ
  • 根菜やきのこなど、自然に噛む回数が増える食材を取り入れる
  • 左右どちらか一方だけで噛まない

ただし、顎関節に痛みがある方や、噛むと歯が痛い方は、無理に硬いものを食べてはいけません。歯科医院で原因を確認してください。

こまめに水分を取る

口の乾燥が気になる場合は、一度に大量の水を飲むよりも、少量ずつこまめに取る方が乾燥感を和らげやすくなります。

糖分を含む飲み物を頻繁に飲むと、虫歯リスクが高くなります。日常的な水分補給には、水や無糖のお茶などを選びましょう。

シュガーレスガムを噛む

ガムを噛む刺激によって唾液分泌が促されます。

虫歯予防を考える場合は、砂糖を含まないシュガーレスガムやキシリトールガムを選びます。甘味と噛む刺激の両方が、唾液の分泌を促します。

ただし、ガムを噛めば歯磨きが不要になるわけではありません。また、顎関節に痛みがある方は、長時間噛み続けることを避けてください。

唾液腺をやさしくマッサージする

唾液線の場所

唾液腺のある場所をやさしく刺激すると、唾液が出やすくなることがあります。

主な方法は次のとおりです。

  1. 耳下腺
    → 耳の前から頬にかけて指を置き、円を描くようにやさしく動かします。
  2. 顎下腺
    → 下顎の骨の内側に指を当て、顎の下から上へ向かって数か所を軽く押します。
  3. 舌下腺
    → 両手の親指を顎の下に当て、舌を持ち上げるような方向へやさしく押します。

強く押す必要はありません。痛みが出ない程度の力で行いましょう。

耳や顎の下が腫れている、押すと痛い、発熱がある、膿のような味がするといった場合は、マッサージをせず医療機関を受診してください。

鼻呼吸を意識する

口呼吸が続くと、唾液が出ていても乾燥が進みます。

日中に口が開いていることに気づいたら、唇を軽く閉じ、鼻で呼吸することを意識しましょう。ただし、鼻づまりがある方は、無理に口を閉じるのではなく、耳鼻咽喉科で原因を確認する必要があります。

お口の保湿剤を利用する

唾液を十分に増やせない場合でも、口腔保湿ジェル、スプレー、洗口液などを利用することで、乾燥感を和らげられることがあります。

商品によって使い方や刺激の強さが異なるため、歯科医師や歯科衛生士に相談し、お口の状態に合うものを選びましょう。

自宅でできる主な乾燥対策をまとめました。
どの方法も、原因そのものを治療するものではない場合があります。症状が続くときは歯科医院へ相談してください。

対策 期待できること 注意点
よく噛んで食べる 噛む刺激によって唾液分泌を促します 歯や顎に痛みがある場合は無理をしません
こまめに水分を取る 乾燥感を和らげます 糖分を含む飲み物の頻回摂取は避けます
シュガーレスガムを噛む 味覚と咀嚼の刺激によって唾液を促します 顎関節に痛みがある方は控えます
唾液腺マッサージ 唾液腺をやさしく刺激します 腫れや痛みがある場合は行いません
鼻呼吸を意識する 口からの水分蒸発を減らします 鼻づまりがある場合は耳鼻咽喉科へ相談します
口腔保湿剤を使う 粘膜の乾燥やヒリつきを和らげます お口に合った製品を選びます

唾液を増やす対策では、「水を飲むだけ」「マッサージだけ」と一つの方法に頼らないことが大切です。噛む回数、水分補給、口呼吸、服用薬などを見直し、それでも改善しない場合は原因を確認しましょう。

唾液が少ないときに避けた方がよいことは?

口が乾燥しているときは、糖分を含む飲み物を頻繁に飲む、刺激の強い飲食物を取る、喫煙する、自己判断で薬を中止するといった行動を避けましょう。乾燥対策が虫歯リスクを高めないよう注意が必要です。

乾燥を和らげる行動が、別のトラブルを招かないようにしましょう。

口が乾くと、飴を舐めたり甘い飲み物を頻繁に飲んだりしたくなることがあります。しかし、糖分がお口の中に長時間残ると、虫歯のリスクが高くなります。

特に注意したい行動は次のとおりです。

  1. 砂糖を含む飴を長時間舐める
    → 唾液は一時的に出ますが、糖分がお口に残り続けるため、虫歯リスクを高めます。
  2. 清涼飲料水やスポーツドリンクを頻繁に飲む
    → 糖分や酸を含む飲み物を少しずつ何度も飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなります。
  3. 刺激の強い洗口液を多用する
    → アルコールを含む洗口液では、刺激や乾燥を強く感じる方がいます。
  4. 喫煙する
    → 喫煙は口腔内の環境や粘膜、歯周組織へ悪影響を与えます。
  5. 薬を自己判断で中止する
    → 口が乾く原因として薬が疑われても、勝手に中止すると元の病気が悪化する可能性があります。

口の乾燥対策では、目先の不快感を減らすだけでなく、歯を守る視点も必要です。飴を使用する場合は砂糖を含まないものを選び、飲み物は水や無糖のお茶を基本にしましょう。

唾液の検査や治療にはどれくらいの費用・期間・通院回数がかかる?

口の乾燥に対する診察では、症状や服用薬の確認、お口の状態の診査、必要に応じた唾液量の測定などを行います。費用や通院回数は、検査内容や虫歯・歯周病の有無、紹介が必要な病気が疑われるかによって異なります。

一度の診察で終わる場合もあれば、原因に応じた継続管理が必要な場合もあります。

口の乾燥で歯科医院を受診した場合は、一般的に次のような確認を行います。

  • いつから口が乾いているか
  • 一日中乾くのか、夜間や起床時だけなのか
  • 食事や会話に支障があるか
  • 服用している薬があるか
  • 虫歯や歯周病が増えていないか
  • 舌や粘膜に炎症がないか
  • 唾液腺に腫れや痛みがないか

必要に応じて、一定時間に分泌される唾液量を測定することがあります。

虫歯や歯周病が見つかった場合は、それぞれの治療が必要です。また、シェーグレン病や唾液腺の病気などが疑われる場合は、内科、膠原病内科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科などへ紹介することがあります。

費用は、保険診療の対象となる診察や検査、処置の内容によって異なります。保湿剤などの製品を購入する場合は、保険が適用されないこともあります。

通院回数も原因によって異なります。一時的な水分不足や軽い乾燥であれば、生活上の注意を確認して経過を見ることがあります。一方、虫歯や歯周病の治療が必要な場合、薬や全身疾患が関係する場合は、複数回の通院やほかの医療機関との連携が必要です。

唾液が少ないときは歯科医院を受診した方がいい?

口の乾燥が長く続く、水がないと食事を飲み込めない、虫歯が急に増えた、舌が痛む、唾液腺が腫れているといった場合は、歯科医院を受診しましょう。急な腫れや痛み、発熱がある場合は早めの診察が必要です。

乾燥が続く場合や、痛み・腫れを伴う場合は受診しましょう。

次のような症状がある場合は、歯科医院へ相談することをおすすめします。

  • 口の乾燥が2週間以上続いている
  • 夜中に口が乾いて何度も目が覚める
  • 水分がないと食べ物を飲み込めない
  • 虫歯が急に増えた
  • 口臭やネバつきが強くなった
  • 舌や頬の内側がヒリヒリする
  • 口内炎や口角炎を繰り返す
  • 味を感じにくくなった
  • 入れ歯が擦れて痛い
  • 口と目の乾燥が続いている
  • 耳の下や顎の下が腫れている
  • 食事のたびに唾液腺の周囲が痛む
  • 急に唾液が出なくなった

特に、唾液腺の腫れ、強い痛み、発熱などがある場合は、唾液腺の炎症や結石などが考えられます。症状が軽くなったからといって原因が解消したとは限りません。繰り返す場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科での診察が必要になることがあります。

唾液についてのQ&A

Q1.唾液が多い人は虫歯になりにくいですか?

唾液量が多く、酸を中和する力や再石灰化を助ける力が十分であれば、虫歯予防には有利に働くことがあります。ただし、歯磨き、間食の回数、フッ化物の使用、歯並び、歯質なども関係します。唾液が多ければ虫歯にならないというわけではありません。

Q2.唾液だけで初期虫歯は治りますか?

歯の表面からミネラルが溶け出しただけのごく初期の段階では、唾液による再石灰化が期待できます。ただし、歯に穴が開いた虫歯は、唾液だけでは元に戻りません。初期虫歯かどうかを自分で判断することは難しいため、歯科医院で確認しましょう。

Q3.唾液がネバネバするのは不足しているからですか?

水分不足、緊張、ストレス、口呼吸などによって唾液量が減ると、粘り気を強く感じることがあります。歯周病、舌の汚れ、服用薬などが関係する場合もあります。ネバつきが続く場合は、口の乾燥だけでなく、歯や歯茎の状態も確認する必要があります。

Q4.唾液腺マッサージは毎日してもいいですか?

唾液腺に腫れや痛みがなければ、やさしい力で日常的に行うことができます。ただし、押すと痛い、耳や顎の下が腫れている、食事時に痛む、発熱がある場合はマッサージをせず、医療機関を受診してください。

Q5.口が乾く薬は中止した方がいいですか?

自己判断で中止してはいけません。薬を中止すると、治療中の病気が悪化する可能性があります。乾燥が気になることを薬の処方医や歯科医師へ伝え、薬の調整が可能か、保湿ケアを行うかなどを相談しましょう。

まとめ

唾液には、お口の中を洗い流し、酸を中和し、歯の再石灰化を助ける働きがあります。また、粘膜の保護、食事、味覚、嚥下、会話にも欠かせません。唾液が減ると複数のトラブルが起こりやすくなるため、長く続く口の乾燥は放置せず、原因を確認することが大切です。

唾液は、お口の健康と日常生活を支える大切な防御機能です。

唾液の主な働きは、次のとおりです。

  • 食べかすや細菌を洗い流す
  • 酸性に傾いたお口の中を中和する
  • 溶けかかった歯の再石灰化を助ける
  • 頬や舌などの粘膜を乾燥から守る
  • 食べ物をまとめて飲み込みやすくする
  • 味を感じやすくする
  • 会話や舌の動きを滑らかにする
  • デンプンの消化を始める

唾液が減る原因には、水分不足、口呼吸、ストレス、薬の副作用、全身疾患、唾液腺の病気などがあります。

まずは、こまめな水分補給、よく噛むこと、シュガーレスガム、やさしい唾液腺マッサージなどを試してみましょう。

ただし、口の乾燥が長く続く場合や、虫歯が急に増えた場合、舌の痛み、唾液腺の腫れなどがある場合は、生活習慣だけで改善しようとせず、歯科医院へ相談してください。