歯と口の基礎知識

プラークを放っておくとどうなるの?

プラークを放っておくとどうなるの?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

プラーク(歯垢)を除去することは、虫歯や歯周病の予防としてとても大切です。では、プラークが歯についたままになっていると、どのようなことが起こるのでしょうか。プラークについてご説明します。

プラークを放っておくとどうなるの?

プラークは細菌の塊ですので、そのまま除去せずに放っておくと、プラークの中で細菌がどんどん増殖していきます。細菌の中に虫歯菌が多ければ、虫歯菌の出す酸で歯を溶かして虫歯になりますし、歯周病菌が多ければ、歯周病菌の出した毒素による炎症で歯茎の細胞が破壊されて、歯と歯茎の間に歯周ポケットが出来ます。

歯周病菌は空気を嫌いますので、歯周ポケットの中をどんどん奥へと、繁殖しながら進みます。そして歯周ポケットは深くなり、炎症が骨に達すると、今度は歯がグラグラしてきます。重度の歯周病の症状です。

更に、プラークは出来てから48時間程度経過すると、唾液の成分と混ざって石灰化してカチカチの歯石になります。歯石は歯磨きでは除去できないので、歯医者でクリーニングを受けて取ってもらわなければいけません。

歯石の表面はゴツゴツザラザラしていて、そこにまたプラークが付着します。そして細菌もどんどん増えていきます。歯科医院で歯石取りを行うのは、お口の中の細菌の数を減らすのが目的です。

プラークは細菌の塊

プラーク(歯垢)はただの食べカスが歯に残ったものではありません。プラークは食べもののカスが歯の表面についたまま時間が経過して、そこに細菌が繁殖したもので、歯と歯の間や、歯と歯茎の間に出来やすく、白くネバネバしています。

プラークは食後4~8時間程度で作られます。出来るだけ1日3回、食後に歯磨きをしましょうといわれるのは、そのせいです。

白いネバネバは粘着性が強く、歯の表面に付着するとうがいでは取れないため、プラークを除去するには歯ブラシでのブラッシングなどの物理的なアプローチが必要です。

プラークの中にいる細菌は、酸や毒素を出して、歯を溶かしたり歯周組織を破壊したりします。酸で歯が溶かされると虫歯になり、毒素によって歯茎が炎症を起こすと歯周病になります。

ヌルヌルとした微生物の集合体のことをバイオフィルムといいますが、プラーク(歯垢)もバイオフィルムの一つです。プラークはお口の中の細菌の棲みかとなりますので、必ず毎日の歯磨きできれいに除去して、口腔内を清潔に保ちましょう。

虫歯や歯周病にならないためには?

お口の中の細菌が増えて虫歯や歯周病にならないためには、毎日の歯磨きなどのセルフケアをしっかりと行い、定期的に歯医者でメンテナンス(クリーニング)を受けることが大切です。

虫歯と歯周病は予防法が似ています。歯磨きで歯垢をしっかり除去すること、間食を減らす、ダラダラ飲食しないなどの生活習慣の改善、歯医者の定期検診の受診などです。

しかし虫歯と歯周病では原因となる菌が異なりますので、とても虫歯になりやすくても歯周病にはなりにくい人がいる反面、虫歯にはならないのに歯周病はあっという間に進行して歯を失ってしまった人もおられます。

虫歯も歯周病も、セルフケアと歯医者の定期健診でしっかり予防していれば、どちらも防ぐことが可能です。虫歯にも歯周病にも強い健康な歯を目指しましょう。

虫歯や歯周病にならないための口腔ケア

1.歯磨き

まず、セルフケアの基本となる歯磨きについてです。

歯ブラシ

まず、歯ブラシで歯の表面の汚れを丁寧に落としましょう。

  • 横磨き・・歯面に毛先を直角に当てて、小刻みに動かす。歯と歯肉の境目にも当てて磨く
  • 縦磨き・・歯ブラシの毛先が当たりにくい部分は、歯ブラシを縦にし、上下に動かして磨く

デンタルフロス

歯ブラシでブラッシングしても、歯と歯の間に汚れが残ってしまうことが多いため、デンタルフロスを使って、歯ブラシの毛先が届かない部分の汚れを落としましょう。

歯の側面にフロスが沿うように、フロスをゆっくり動かします。歯茎にフロスが強く当たりすぎないように注意しましょう。

歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯茎の隙間に差し込んで使います。数種類のサイズの中からご自身にぴったりのものを選びましょう。力を入れすぎると、歯茎の退縮に繋がりますので、そっと前後に動かして汚れを取ります。

2.食習慣

良く噛むことで食べ物を歯でしっかりと擦りつぶすと同時に、唾液の分泌を促します。一口30回かむことを目指しましょう。

食事によってお口の中は酸性に傾き、歯の表面のエナメル質が溶けやすい状態になります。唾液がよく出ていると、唾液の作用で酸性に傾いていた口腔内が中和されて中性に戻ります。この唾液の作用を再石灰化作用といいます。

だらだらと食べ続けると、酸で歯が溶ける状態が長く続いてしまい、再石灰化が間に合わず、虫歯のリスクが高まります。

虫歯や歯周病にならないためのポイント

  • 良く噛んで唾液を出す
  • だらだら食べずに時間や回数を決めて食べる

3.歯の定期健診

プロの目で歯の状態をチェックすることで、虫歯や歯周病を初期の状態で発見することが出来ます。また、定期健診の際には歯のクリーニングも行いますので、歯石を取ったり、セルフケアで落とせなかった歯垢を清掃することが出来ます。

歯垢(プラーク)や歯石を取ってお口の中を清潔に保つことは、虫歯や歯周病予防のために、必ず行うべきことです。

プラークを放っておいた場合に関するQ&A

プラークを放っておくとどうなるのですか?

プラークを放っておくと、お口の中に細菌が増殖し続けます。虫歯菌が多ければ虫歯が進行し、歯周病菌が多ければ歯周病が進行します。さらに、プラークは歯石に石灰化し、取り除けなくなる可能性もあります。

虫歯や歯周病を予防するためには何をすれば良いですか?

虫歯や歯周病を予防するためには、以下の対策が効果的です
1.正しい歯磨きを行う。
2.食事の間食を控え、良く噛んで唾液の分泌を促す。
3.喫煙を避ける。
4.定期的に歯医者の定期健診を受け、歯垢や歯石の除去を行う。
5.生活習慣やストレスの管理に注意し、充分な睡眠とバランスの取れた食事を心掛ける。

歯の定期健診はどうして重要なのですか?

歯の定期健診では、プロの歯科医師が歯の状態をチェックし、虫歯や歯周病を早期に発見することができます。また、歯石の取り除きやセルフケアでは落とせない歯垢の清掃も行われます。定期健診は虫歯や歯周病の予防と早期治療のために重要です。

まとめ

歯のキャラクター

プラークがついたまま放っておくと、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。健康な歯を長持ちさせられるように、まずプラークを出来るだけ取り去って虫歯や歯周病を予防しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック