定期健診・予防歯科

フッ素とは何ですか?虫歯予防に効果ある?

フッ素とは何ですか?虫歯予防に効果ある?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

フッ素が虫歯予防に効果があることは皆さん、CMやドラッグストアの店頭などでフッ素入りの歯磨き剤を見てご存じのことと思います。フッ素が虫歯の予防にどのような効果があるのかご説明します。

フッ化物(フッ素)とは何ですか?

フッ素(fluorine、元素記号F)はハロゲン族の非金属で生体必須微量元素です。フッ素は人体にも多く含まれており、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄に次いで多く含有されています。

フッ素は自然界には単体で存在せず、フッ化物と呼ばれる化合物として存在しています。動物・植物など全ての生き物にミネラルとして含まれ、自然界ではごくありふれた物質です。

飲料水やお茶にもフッ化物は含まれており、その他には海産物から高濃度のフッ化物が摂取できます。(※当サイトではフッ化物、フッ素化合物をフッ素と呼びます。)

フッ素には、歯の表面のエナメル質の修復を促進する作用がある他、歯質を強化し、虫歯菌の働きを弱めるなど、むし歯の発生を防ぐ効果があります。そのためフッ素は歯磨き剤や洗口液などの薬効成分として虫歯予防に広く使われています。

フッ素はどうして虫歯予防に効果があるの?

フッ素は虫歯予防に効果があり、虫歯菌に負けない歯を作ってくれます。フッ素の虫歯予防効果は主に2つあります。

フッ素の効果

  1. フッ素は歯の再石灰化を促す
  2. フッ素は酸に溶けにくい強い歯質にしてくれる

まず、「脱灰」と「再石灰化」についてご説明します。

虫歯はミュータンス菌などの細菌による感染症

虫歯が出来るのは、虫歯の原因菌とされるミュータンス菌などの細菌が糖分をエサにして酸を出し、その酸によって歯のエナメル質や象牙質が溶かされるからです。酸によって歯が溶ける現象を「脱灰」といい、歯の溶けた部分が唾液の働きなどで修復される現象を「再石灰化」といいます。フッ素は再石灰化を促す働きがあります。

フッ素は再石灰化を促す

歯の再石灰化とは?

私たちが飲食を行う度に、歯は脱灰と再石灰化を繰り返し行っています。炭酸やかんきつ類のジュールなどの酸性度の高いものによって、歯は脱灰を始めます。果物、酢の物、サラダドレッシングなども酸性が高い食べ物です。

歯が脱灰すると同時に、唾液などの働きで再石灰化が起こり、歯は酸によって溶かされたままではなく、正常な状態に戻ることが出来ます。しかしお口の中に虫歯菌が増えると、酸がどんどん増えていき、再石灰化が追い付かなくなってしまい、結果として歯が溶けてしまいます。
フッ素は再石灰化を促す作用があり、酸によって溶かされた歯の修復を助けます。ただし、再石灰化で修復可能なのは歯のエナメル質のみで、虫歯が深くなって象牙質まで溶かされている場合は、再石灰化での修復は出来ず、歯を削って詰める治療を受けなければなりません。

フッ素は酸に溶けにくい歯質に変えてくれる

歯の表面のエナメル質は、リン酸カルシウムでハイドロキシアパタイトといわれる結晶を作っています。ハイドロキシアパタイトは酸に弱く、結晶構造からカルシウムやリン酸等のミネラルが溶け出して脱灰を起こします。

脱灰と同時に歯の再石灰化が起こりますが、そこにフッ素が加わることで、「フルオロアパタイト」と呼ばれる酸に対して安定した結晶が出来上がり、虫歯菌に対しての抵抗性が高まって酸に溶けにくくなります。

フッ素によって歯質が強化されるのはこのような理由によります。

フッ素をどんなふうに使えば虫歯予防に効果的?

諸外国の中では、水道水にフッ素を混ぜる「水道水フロリデーション」やフッ化物サプリメントの服用によって虫歯予防に劇的な効果をあげている国もありますが、このどちらもが日本では認められていません。

そのため、虫歯を予防するために以下のような方法で、日頃からフッ素を積極的に活用しましょう。

高濃度のフッ素による「フッ素塗布」

フッ素塗布は、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が行う施術で、歯の表面のエナメル質に直接フッ素を塗っていきます。奥歯や歯と歯の間など、歯ブラシが届きにくく、むし歯になりやすいところにフッ素塗布を行うと効果的です。

フッ素塗布後は、歯に浸透させるために30分程度は飲食を控え、歯科医院で年に数回塗布します。フッ素塗布には9000ppmという極めて高い濃度のフッ素ジェルが使われており、濃度が高いので効果が期待出来ます。

「フッ素入り歯磨き粉」を使ってセルフケアする

 

フッ素入り歯磨き粉毎日の歯磨きで使える「フッ素入り歯磨き粉」は1500ppm以下のフッ素濃度と決められています。歯科医院でのフッ素塗布と比べると濃度が低いですが、毎日使うことで虫歯予防の効果を高めることが出来ます。

歯ブラシの上に出す歯磨き粉の量は、2センチ程度で十分です。歯磨きの後でお口をすすぐときは10ml程度の水を使います。すすぎすぎるとフッ素が流れてしまいます。

ttps://www.chayamachi-clover.com/faq/1220.html

「フッ素洗口液」を使ってうがいする

フッ化物の応用法としては「フッ素洗口液」によるうがいも効果があります。フッ素の入った洗口液のフッ素濃度は250~900ppmです。薄めて使うタイプのフッ素洗口液は必ず薄めて使用し、絶対に原液のまま歯に直接つけたりしないようにしてください。

フッ素の虫歯予防への効果に関するQ&A

フッ素はどのようの虫歯予防効果がありますか?

フッ素は虫歯予防に2つの主な効果があります。まず、フッ素は歯の再石灰化を促進し、歯のエナメル質の修復を助けます。また、フッ素は歯質を強化し、酸に溶けにくい歯質を形成することで虫歯菌の働きを弱めます。

フッ素は歯質を強化する仕組みを教えてください。

歯のエナメル質は酸に弱い結晶であるハイドロキシアパタイトからなっています。フッ素が加わることで、酸に対して安定した結晶であるフルオロアパタイトが形成されます。このフルオロアパタイトは酸に溶けにくく、歯の表面を保護し虫歯菌の侵入を防ぎます。

フッ素を効果的に使うための方法はありますか?

フッ素を効果的に使うためには、以下の方法があります。歯科医院でのフッ素塗布やフッ素入り歯磨き粉の使用、フッ素洗口液によるうがいなどが挙げられます。それぞれの方法は、フッ素の効果を最大限に引き出すために適切に行う必要があります。

まとめ

歯のキャラクター

フッ素は食事から体内に取り込まれるミネラルの一つで、虫歯菌の出す酸から歯を守り、歯質を強化してくれるため、歯に直接作用させるのが効果的です。フッ素塗布やフッ素入りの歯磨き剤、洗口剤に関しては歯科医院にお気軽にお尋ねください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック